有志の会

語ろう「数理解析」


過去の講演内容一覧


2002年度 (旧 名大多元数理解析セミナー)


第1回数理解析セミナー
日時 平成14年 5月16日 (木) 14時00分より
講演者 石渡 哲哉 氏 (岐阜大・教育)
講演タイトル 結晶界面運動に現れる速い縮退解について
講演概要 結晶の界面運動の数学モデルの1つにクリスタライン運動がある。これは自由境界問題の1つであり、結晶の表面エネルギー分布から導かれるウルフ図形によっ て界面形状の特徴付けがなされている。本研究では、ある種の曲率に依存して多角形状の界面が運動するものを対象とし、縮退する界面に有限時間で発生する特 異性の特徴づけを行うことを目的としている。講演では、クリスタライン運動の概要、発生する特異性についての知られている結果を解説した後、講演者および 共同研究者によって現時点で得られている特異性の評価について話す。特に、界面の形状と特異性の強度との関係について、具体的な特異性の指数とともに明ら かにする。
場所 理A館 444号室


第2回数理解析セミナー
日時 平成14年 6月13日 (木) 13時30分より
講演者 飯間 信 氏 (北海道大・電子研)
講演タイトル 昆虫飛翔の流体力学と2次元はばたきモデルの解析
講演概要 昆虫の飛翔機構は飛行機などと異なり, はばたき運動に伴う剥離渦の動力学と, その渦と羽との相互作用による力の生成が重要である. こういった昆虫の飛翔機構について流体力学的観点からの短いレビューを行い, その後剥離渦の動力学が非自明な振舞を呼び起こす例として, 講演者らが研究を進めている2次元対称はばたきモデルの解析についての話題を提供する. 講演では本物の昆虫飛翔のビデオなどもお見せする予定である.
場所 理A館 444号室


第3回数理解析セミナー
日時 平成14年 7月 4日 (木) 13時30分より
講演者 降旗 大介 氏 (大阪大・サイバー)
講演タイトル 離散変分法の理論的詳細
講演概要 離散変分法とその応用例の理論的な詳細について, これまでは時間的な制約などのためにあまり紹介することができなかった. そこで, 離散変分法の概要だけでなく, 応用例の安定性証明や解の存在証明まで含めた理論的部分について細かく紹介を試みたい.
場所 理A館 444号室


第4回数理解析セミナー
日時 平成14年 9月 12日 (木) 14時00分より
講演者 竹内 慎吾 氏 (学習院大・理)
講演タイトル p ラプラシアンの数理現象
講演概要 p ラプラシアンは多孔質媒質の方程式の拡散項と並んで 非線型拡散の代表的な例である.線型拡散(ラプラシアン) との数理現象の相違をこれまで得た結果を交えながら解説し, それが原因で生ずる非線型拡散ならではの新たな問題を いくつか紹介したい.またこのセミナーの趣旨にかんがみ, p ラプラシアンの諸科学への応用面についても軽く触れる.
場所 理A館 444号室


第5回数理解析セミナー
日時 平成14年 10月 17日 (木) 14時00分より
講演者 石渡 通徳 氏 (早稲田大・理工)
講演タイトル On some semilinear parabolic and elliptic equations involving Sobolev critical exponent
講演概要 本談話ではSobolev critical exponent またはそれに近い非線型項の指数をもつ以 下のタイプの半線型楕円型方程式の解の多重性、また半線型放物型方程式の解の挙 動について議論する:

(E) -△u = u|u|^{p-2} in Ω,
(P) u_t = △u + u|u|^{p-2} in Ω.

ここで Ω は R^N の領域、p \in (2,2^*], p〜2^* とする。

(E)、(P) に関しては様々な観点からの膨大な数の研究がある。特に指数が critical (に近い)場合には (E) については解の多重性が領域の位相幾何学的性質 に密接に関係すること、また (P) については subcritical case では見られないタ イプの解の漸近挙動が見られることが(部分的に)知られている。ここではこれらの 一見互いに関係ないように見える結果について、 Sobolev の埋蔵 H_0^1\hookrightarrow L^p のコンパクト性の破れを基礎とする一つの 視点から統一的な解釈を与えることを試みる。またこの視点に基づいて、これまでに 得られている結果を(証明の 細部には立ち入らずに)直感的に概観する。

場所 理A館 444号室


第6回数理解析セミナー
日時 平成14年 11月 14日 (木) 14時00分より
講演者 二宮 広和 氏 (龍谷大・理工)
講演タイトル 線形誘導爆発について
講演概要 まず,拡散誘導爆発を解説し,そのメカニズムを調べるために 常微分方程式系の解の爆発問題の分類を行う. ある種の場合には,内向き線形項を摂動として加えることによって 爆発がおきることを説明する.
場所 理A館 444号室


日時 平成14年 11月 28日 (木) 14時00分より
講演者 赤堀 公史 氏 (名大・多元数理)
講演タイトル Yukawa coupled Wave-Schrodinger equation
講演概要 湯川型の相互作用をする波動方程式とシュレディンガー方程式の連立系の解の存在定理について,空間次元によって状況が異なる点を強調し,それぞれの場合に実解析的手法と,どのように関連しているかを解説する.
場所 理A館 444号室


第7回数理解析セミナー
日時 平成15年 2月 13日 (木) 14時00分より
講演者 中村 健一 氏 (電通大・電気通信)
講演タイトル Bounds for effective speeds of traveling fronts in spatially periodic media
講演概要 ここ数年、空間非一様な反応拡散方程式の進行波の 定性的性質(存在、安定性、伝播速度の特徴づけなど) が盛んに研究されている。本講演では、双安定型の 非線形項を持つ反応拡散方程式に対し、方程式の 空間非一様性が進行波の伝播速度に与える影響に ついて得られた結果を報告する。
場所 理A館 444号室

NOTICE: Workshop on "Nonlinear Wave equation and related fields"
研究集会 "Nonlinear Wave equation and related fields" のお知らせ

Workshop on "Nonlinear Wave equation and related fields" will be held at Graduate school of mathematics, Nagoya Univ. from Feb. 22nd through 23rd, 2003.

The program is here(Japanese).
Last updated: Feb. 17, 2003.


2003年度

第8回数理解析セミナー@名古屋大学
日時 平成15年 5月22日 (木) 15時00分〜17時00分
講演者 服部 哲弥 氏 (名大多元)
講演タイトル くりこみ群,2041年現在
講演概要 ちょうど10年前,1993年に開かれた微分方程式の研究会に上記題名の文書を持って いったところ,主催者のかたのご厚意により,発表した別の文書とともに研究会 報告集に掲載していただきました.今回数理解析セミナーに誘って頂いたことを縁と 考えて,封印してきたこの文書の題目での講演を試みます.内容は,私の web page に元の文書の dvi file を貼ってあるので,時間の余裕と興味のあるかたは 探してください.(なお,題目から分かると思いますが,まともな数学や物理学を 期待しないでください!)
場所 理1号館309号室


語ろう「数理解析」 第9回セミナー@岐阜大学

開始時間・会場が普段と違います。ご注意ください。
日時 平成15年 6月12日 (木) 15時00分より
講演者 愛木 豊彦 氏 (岐阜大・教育)
講演タイトル ヒステリシス作用素の数学的表現
講演概要 形状記憶合金や強磁性体膜の変化はヒステリシス作用素によって記述される。近 年,ある種のヒステリシス作用素が常微分方程式と同値であることがわかり,そ れを偏微分方程式のシステムに組み込んだ問題の解析が進んでいる。ここでは, 現象に対するモデルの構築を紹介し,問題の適切性(解の存在と一意性)を示 す。講演においては形状記憶合金でつくられた玩具を提示し,その挙動とシステ ムの解の挙動との関係についても触れる予定である。
場所 岐阜大 教育学部本館202号室

語ろう「数理解析」 第10回セミナー@名古屋大学

月曜日開催です。ご注意ください。
会場が変更になりました。ご注意ください。
日時 平成15年 7月28日 (月) 14時00分より
講演者 長山 雅晴 氏 (京大・数理研)
講演タイトル 気水界面における粒子運動の数理
講演概要 これまで水面上を動く樟脳粒子の運動や樟脳舟の相互作用を 記述する数理モデルの研究をしてきました. 今回はこのような現象が数学の問題としてどのように設定されるのかを 交えて語りたいと思います. また,間に合えば樟脳酸舟の間欠運動とよく似た現象を示す 反応拡散場におけるフェナントロリン粒子の 運動に対する数理モデルについても話したい.
場所 名古屋大学 理1号館109号室

語ろう「数理解析」 第11〜14回セミナー in 北海道

期間:平成15年8月25日(月)〜26日(火)
会場:  札幌天神山国際ハウス
■所在地: 北海道札幌市豊平区平岸2条17丁目1-80
■TEL: 011-823-1000
■FAX: 011-823-1867
■交通: 地下鉄南北線澄川駅下車徒歩8分

プログラム

日時 平成15年 8月25日 (月) 10:00〜12:00
講演者 坂上 貴之 氏 (北大大学院 理学研究科)
講演題目 渦層の運動と特異点
講演概要 非圧縮・非粘性流体における速度場の不連続面を一つの曲面 とみなしたものを渦層と呼ぶ。物理的に、この曲面は速度場 が急激に変化するせん断流(Shear Flows)の数理モデルであり、 一方でこれは数学的には渦度の初期値がδ関数的に与えられ た場合のEuler方程式の解であるので、物理的にも数学的にも 多くの研究者によって研究されてきた。
本講演では、この曲面の運動を支配する方程式の解の存在と 一意性から初めて、解に現れる特異点の具体的な性質に関す る数学的結果と数値的結果をサーベイする。そして、そこか ら発生する未解決問題について言及する。

日時 平成15年 8月25日 (月) 14:00〜16:00
講演者 早川 尚男 氏 (京大大学院 理学研究科)
講演題目 非弾性粒子系の統計力学
講演概要 粉体と総称される非弾性粒子系の数学的記述はチャレンジン グな問題となっている。本講演ではどういうことが問題になっ ていてどのようにアプローチをするかに就いて紹介する[1]。
内容は講演時間と夏の研究成果に依存するが
1. 粉体とは何か
2. 非弾性衝突について:何故はねかえり係数は1を越えるか
3. 非弾性衝突をするガス系の統計力学と流体力学:安定性 と長距離相関の影響
等を紹介していく予定である。
参考文献
[1] 早川尚男、散逸粒子系の力学(岩波書店2003)
日時 平成15年 8月26日(火) 10:00〜12:00
講演者 西浦 廉政 氏 (北大電子研)
講演題目 Toward the understanding of strong interactions among localized patterns in dissipative systems
講演概要 There are two types of strong interactions (or instabilities) for particle-like patterns, namely intrinsic and extrinsic ones. Self-replication and self-destruction are the typical examples of intrinsic type. Strong collision and the resulting scattering between traveling spots is of extrinsic one. Conventional perturbative methods don't work in this regime and there remain lots of open problems due to the large deformation of patterns not only in mathematical sense but also physical or even computational sense. I will present several potentially useful vewpoints and tools to explore this fertile ground.
日時 平成15年 8月26日 (火) 14:00〜16:00
講演者 原 隆 氏 (名大多元)
講演題目 臨界現象とくりこみ群
講演概要 磁石を熱するとある温度以上で磁石でなくなる(鉄を引きつけない)。 これを相転移と言うが、相転移の起こる温度の近傍ではいろいろな物理量が特異的なふるまいを示す。 これを臨界現象という。 臨界現象は幅広い物質で共通であり、それがなぜなのかは 1960 年代の物理学の大きな疑問の一つであった。
この謎は 1970年代の「くりこみ群」の理論(描像)の提唱で鮮やかに解明された(ように見える)。 またくりこみ群は臨界現象とも関連する場の量子論の解析などにも強力な描像を提示し、 非常な威力を発揮した。くりこみ群は多自由度系の解析の主要な手段の一つとなりうる(と講演者は考える)が、 くりこみ群自身の数学的解析の進展は遅く、非常に不満足な状態にある (くりこみ群が臨界現象に与えた描像すら、数学的にはその正しさは証明されていない)。
この講演では統計力学における臨界現象を例にとって、「くりこみ群」の基本的な考え方と その解析の現状を解説することを目的とする。
大体の予定は以下の通り:
(1)統計力学における臨界現象とは何か,どこが面白いのか。
(2)くりこみ群とは何か。くりこみ群の提示する描像によって臨界現象がどのように理解されたか。
(3)くりこみ群解析の実情と現在の大きな問題について。
(お願い)この講演では基本的な事項の解説にかなりの時間を割く予定ですが、 うまく説明できるかどうか自信がありません。そこで、くりこみ群解析の経験 の豊富な方には是非、鋭いつっこみをお願いします。
(冒頭部分を読まれた専門家へのお断り)この講演は大自由度系を扱う武器としての くりこみ群の考え方に重点をおきます。従って、扱うモデルは「古典スピン系」に限り、 磁石をマトモに扱う際には避けて通れない「量子スピン系」は一切扱いません。
今回の会の開催にあたり,服部先生@名大多元には早川先生を
御紹介頂くなど,大変お世話になりました.
この場を借りてお礼申し上げます.
また,西浦先生,早川先生, 原先生は快く講演をお引き受け下さいました.
こころより感謝致します.
運営メンバー一同

語ろう「数理解析」 第15回セミナー@名古屋大学

日時 平成15年 10月27日 (月) 14時00分より
講演者 柳下 浩紀 氏 (東京理科大学 理工学部)
講演タイトル 発展方程式 \(V=1-K\) により拡大する星型曲線の漸近挙動
講演概要 \(V=1-K\) により拡大する星型曲線に対して、 同じく拡大する円からのズレの挙動を調べる。
主な結果は次の3点である。
曲線の円からのズレは、時刻無限大で漸近形をもつ。
2つの曲線が同一の漸近形をもつならば、同じ曲線である。
すべての漸近形よりなる集合は、 \(C(S^1)\) の中で稠密である。

(時間に余裕があれば、
岡本久、中村健一、柳下浩紀、
Blow-up solutions appearing in the vorticity dynamics with linear strain
ついても少し報告したい。)

場所 名古屋大学 理1号館 109号室

語ろう「数理解析」 第16回セミナー@名古屋大学

日時 平成15年 11月6日 (木) 15時30分より
講演者 森田 善久 氏 (龍谷大学 理工学部)
講演タイトル 反応拡散方程式のフロント進行波の消滅を特徴付ける全域解
講演概要 双安定な反応拡散方程式では、2つの安定な平衡点を 結ぶフロント進行波解の存在と安定性が古くから知られて いるが、数年前に2つの向き合ったフロントが消滅する 現象を特徴付ける全域解(全ての空間、時間で定義され た解)の存在が柳下浩紀氏によって初めて証明された。 柳下氏の証明は不変多様体の理論を適用したものであるが、  最近のFukao-Morita-Ninomiyaの仕事で、反応項が3次の 多項式の場合、このような解の存在が比較原理によって 証明できることが示された。今回の講演では、この仕事の 紹介と一般の双安定な場合の比較原理による証明(J.-S. Guo との共同研究)について述べる。この一般化の議論から Fisher-KPPの場合も双安定と同じように扱える。
場所 名古屋大学 理1号館 109号室

語ろう「数理解析」 第17回セミナー@名古屋大学

金曜日開催です。ご注意ください。

日時 平成15年 12月5日 (金) 15時00分より
講演者 田崎 晴明 氏 (学習院大学理学部)
講演タイトル 定常状態熱力学(SST = Steady State Thermodynamics)の構築にむけて
講演概要 熱力学と統計力学は、マクロな系のふるまいを記述する普遍的な枠組みである。 熱力学は、系の変化やエネルギー収支についての限界を定め、統計力学は、 平衡測度の具体的な表式を(少なくとも、形式的には)与える。 これらは特定の系において成り立つ結果ではなく、系の詳細にはよらず、 あらゆるマクロな系に適用できる
--- ただし、系が完全な平衡状態にあるという条件のもとで。

平衡状態にないマクロな系について、 これらと同じような普遍的な枠組みはないのだろうか?

完全に一般的な非平衡系を扱う枠組みはおそらく存在しないだろうし、 もしあるとしても現段階の人類には想像さえできない。 まず最初のターゲットとなるべきは、平衡から外れ、何らかの「流れ」があるものの (マクロな)時間変化のない非平衡定常系であろう。 一定の速さで流れる川、定常電流、定常な熱流など、例は多い。 これらの系に普遍的に適用できる熱力学、統計力学の枠組みを構築することが、 われわれの最終目標である。

もちろん非平衡定常統計力学の建設など夢の夢だが、その前段階たるべき 非平衡定常系の熱力学(定常状態熱力学 = SST)については、 ここ何年かの佐々真一氏らとの共同研究の中で、ある程度の形が見えてきた。

このセミナーでは、平衡系の熱力学や統計力学のエッセンスのレビューから出発し、 われわれの研究の動機付けを説明し、SST 研究の現状を概観する予定である。

場所 名古屋大学 理1号館 109号室

語ろう「数理解析」 第18回セミナー@名古屋大学

日時 平成16年 1月15日 (木) 14時00分〜
講演者 向田 寿光 氏 (埼玉医科大学)
講演タイトル 無限次相転移を記述するくりこみ群方程式の漸近解析
講演概要 くりこみ群方程式は、ハミルトニアンに含まれる結合定数に関する、常微分方 程式である。相転移点における臨界指数を計算するためには、この方程式の解 の 漸近的な振る舞いが重要になる。相転移が二次の場合は、くりこみ群方程 式を固定点のまわりで線型化することによって、解の漸近的な性質を導きだす ことが できる。ところが2次元XY模型に代表される無限次相転移の場合は、 1階微分が零行列になるため線型化できないので、単純な線型化の方法では漸 近的な性 質は得られない。本セミナーでは、上記のような困難を持つ無限次 相転移のくりこみ群方程式から、解の漸近的性質を導きだす方法を紹介する。 参考文献
C. Itoi and H. Mukaida, Phys. Rev. E, 60 3688 (1999)
H. Mukaida, http://jp.arxiv.org/abs/cond-mat/0308461
場所 名古屋大学 理1号館 109号室


語ろう「数理解析」 第19回@岐阜大学

月曜日開催です。ご注意ください。

日時 平成16年 1月26日 (月) 15時00分〜
講演者 高坂 良史 氏 (室蘭工業大学)
講演タイトル 有界領域内での表面拡散による相境界運動について
講演概要 非平衡状態では動いている異種境界面(interface boundary)の 運動を記述する幾何学的発展方程式の1つとして,表面拡散方程式 (surface diffusion flow equation)が知られている.表面拡散方程式は $V=-\Delta\kappa$ ($V$:界面の法速度,$\Delta$:Laplace- Beltrami 作用素,$\kappa$:界面の平均曲率)で表される 方程式であり,1950年代にMullinsによって材料工学に関する 論文の中で紹介された. 本講演では,${\mathbb R}^2$内の有界領域$\Omega$において, $\Omega$の境界と直角に交わる相境界の運動が表面拡散方程式に よって記述される2相問題について考える.この問題において, $\Omega$の境界と直角に交わる円弧や線分が定常解になるが, 今回はその定常解の線形化安定性に関する結果を紹介する. この結果は,曲線の長さを表す汎関数の臨界点の安定性の解析とも 密接に関係している.講演ではその関連性についても少し解説する 予定である.時間に余裕があれば,この解析の3相問題への発展性 に関しても述べたいと思う.
場所 岐阜大学 教育学部本館B104号室


語ろう「数理解析」 第20回@金沢大学

金曜日開催です。ご注意ください。

日時 平成16年 2月13日 (金) 15時00分〜
講演者 井口 達雄 氏 (東工大・理)
講演タイトル 水面波の方程式に対する初期値問題とその周辺
講演概要 水面波とは,流体としての水の運動が非圧縮的,非粘性的かつ渦無しである時, 大気と接する境界面(水面)の運動のことを指す.その運動を調べることは 自由境界問題として数学的に定式化され,流体内部の物理量(速度場と圧力場) と同時に,それら物理量の定義域である流体領域,すなわち水面の形を決定する ことになる. 言い換えると,水面波の方程式とは,渦無しという条件の下での 非圧縮性 Euler 方程式の自由境界問題のことである.

本講演では,その水面波の方程式に対する初期値問題およびそれに関連する話題 について解説する.水面波の本質的な時間発展の運動は,自由境界である水面上 のみで起っており,その運動を記述する方程式は陽に現れていない.その方程式 を引き出すためには,Laplace 方程式に対する Dirichlet-to-Neumann 写像ある いはそれに類する非局所的な作用素を用いなければならない.しかもその作用素 が方程式の主要部に現れ,水面波は自由境界問題であることから,その写像自体 も未知量になっている.それゆえ水面波の解析には特異積分作用素を用いた精密 な評価をすることが必要不可欠である.このような状況が水面波の数学的な解析 を困難なものにしており,また面白いところでもある.

水面波の歴史は古く,あの Korteweg と de Vries が導出した,いわゆる KdV 方程式も,基本的には水面波の方程式から出発して導かれたものである.ところ が,その初期値問題の適切性が研究されるようになったのは比較的最近である. これまでに何が解決され,何が未解決問題として残されているかを紹介しつつ, この問題の面白さの一端でも伝えたいと思っている.

場所 金沢大学サテライトプラザ(下記参照) 3階講義室

会場:  金沢大学サテライトプラザ
■所在地: 金沢市西町三番丁16番地 金沢市西町教育研修館内
■TEL: (076) 232-5343

2004年度

語ろう「数理解析」 第21回@阪大基礎工

土曜日開催です。ご注意ください。

日時 平成16年 5月8日 (土) 14時00分〜(4時間程度を予定)
講演者 鈴木 貴 氏 (大阪大学・基礎工)
講演タイトル 自由エネルギーと自己相互作用粒子系:数学的アプローチ
講演概要 多数の自己重力粒子系平均場の集中質量が、空間次元が2の場合には 8πに量子化することの数学的証明と、その背景となる数理的原理として 非線形量子力学、統計力学ヒエラルヒーにおける数学原理、量子化する爆発機構、 双対変分原理について解説します
場所 大阪大学 基礎工学部 J棟6階 J619


語ろう「数理解析」 第22回@阪大

土曜日開催です。ご注意ください。
15時開始です。ご注意ください。

日時 平成16年 6月5日 (土) 15時00分〜
講演者 平岡 裕章 氏 (大阪大学・基礎工・D3)
講演タイトル 無限次元力学系の大域的構造解析に向けた位相的計算理論
講演概要  無限次元力学系におけるConley指数を用いた位相的計算理論について 解説を行なう.Conley指数とは力学系の不変集合に対して定まる位相的 不変量であり,不変集合の不安定次元とその近傍での力学系の振舞いを 反映する.本研究では無限次元力学系の種々の不変集合に対して,その 存在証明を与えるConley指数を用いた位相的計算理論を構築することを 目標とする.
 講演においてはConley指数理論の簡単な導入をした後,数値検証法へ の応用について解説を行なう.最後に勾配系においては,数値検証によ り得られたConley指数の情報から代数的な議論を経ることで,平衡点間 のconnecting orbitが検出可能であることを説明する.
場所 大阪大学 基礎工学部 J棟6階 J619

本講演に関するレジメ等が平岡さんのweb page に用意されています。


語ろう「数理解析」 第23回@東工大

土曜日開催です。ご注意ください。
15時開始です。ご注意ください。

日時 平成16年 6月26日 (土) 15時00分〜
講演者 石毛 和弘 氏 (東北大学・理学部)
講演タイトル 外部領域における熱方程式の解の最大点挙動について
講演概要  Neumann 条件やDirichlet 条件の下で、球の外部領域における熱方程式の 解の最大点の時間無限大における挙動について考察する。
Neumann 条件の場合には, 時刻無限大での最大点の挙動には、大きく分けて
(1) 領域の境界に近づく
(2) 領域のある一点に近づく
の2つがあり、それらを初期条件によって特徴付けする。
また、Dirichlet 条件の場合には、ある早さで境界から離れて行き、 その早さは空間の次元に依存することことがわかる。
これらの研究には、外部領域における熱方程式の解の微分を含めた詳しい 漸近挙動を調べる必要があるが、領域の対称性を利用しながら、これらの 解析を行う。また、球対称以外の外部領域を扱う上での問題や今後の課題 等などにも触れる予定である。
場所 東京工業大学 本館3階H334(数学科第6演習室)

今回の会の開催にあたり,井口先生@東工大には会場の手配を
して頂き、大変お世話になりました.
この場を借りてお礼申し上げます.
メンバー一同
[会場情報]
東工大・本館および第6演習室に関する情報は下記参照:
東工大・本館
東工大・本館(Mapion)
第6演習室
なお当日は休日であるため、本館は正面入り口のみが開いており 他の入り口は施錠されていますのでご注意下さい。 (桜並木を抜けたところが正面となります。)

語ろう「数理解析」 夏セミナー@北海道 (第24〜26回)

今回は会場の手配など,北大数学 COE 事務室に大変お世話になりました.
また,会場使用料など若干の援助も北大 COE より頂き,天神山数学シリーズ
の一つとして,開催する運びとなりました.
この場をお借りして厚く御礼申し上げます.
運営メンバー一同

期間:平成16年8月11日(水)〜12日(木)
会場:  札幌天神山国際ハウス

■所在地: 北海道札幌市豊平区平岸2条17丁目1-80
■TEL: 011-823-1000
■FAX: 011-823-1867
■交通: 地下鉄南北線澄川駅下車徒歩8分

日時 平成16年 8月11日 (水) 14:00〜16:00
講演者 小川 知之 氏 (大阪大学基礎工学部)
講演題目 対流系の分岐解析
講演概要 PDEにおける分岐解析法を整理して、 いくつかのパターン形成・選択の問題を解析する。 例えば熱対流の問題は50年以上の歴史をもつ 古典的な問題であるが、詳細な分岐構造はまだ 明確にされていない。

日時 平成16年 8月12日 (木) 10:00〜12:00
講演者 泉屋 周一 氏 (北海道大学理学部)
講演題目 可微分写像の特異点論入門
講演概要 可微分写像の特異点論は「微分積分学」の(最も)直接的な 一般化であると考えられる。その意味では「数理解析学」 の(現代においてさえも)主要な研究手段である微分積分学 の限界を乗り越える手段の一つと考えられる。 講演では、「可微分写像の特異点論」を「微積分学の一般化」 として「3次以上の項を組織的に取り扱う」ことと「多価関数の微積分」 と言う側面に焦点を絞り、現在までに(これから8月までの 間に)私が多かれ少なかれ関係した「数理解析学、物理学、工学、純粋数学内部、等」 との関わりについて解説したい。
日時 平成16年 8月12日 (木) 14:00〜16:00
講演者 菱田 俊明 氏 (新潟大学工学部)
講演題目 回転する物体の周りの Navier-Stokes 流について
講演概要 3次元物体の周りの非圧縮粘性流の運動は, Navier-Stokes 方程式 の外部問題として定式化される. 物体が運動 (並進, 回転) する場合 は興味深いが, 特に回転の影響を数学的に捉えるため, 物体が等速 回転運動のみする場合を論ずる.
まず, 変数変換により一定外部領域における問題に書き直して導出 される方程式の困難と面白さ, 特に物体が静止の場合と比べて 非有界係数をもつ移流項を伴うことによる方程式の質的違いについて 説明する. 解の存在など基本的問題に対する現在までの研究および 未解決問題について紹介した後, 定常流 (元の座標系では時間周期流) の存在と安定性を目標とした講演者の最近の研究とその解析手法に ついて解説する.

語ろう「数理解析」 第27回セミナー@岐阜大学

の詳細が以下のように決まりましたので、御案内申し上げます。

なお、仙葉先生の御講演は16時開始の予定ですが、その前に14時 から、お茶の時間をかねて自由な議論の場を設けたいと思います。
14時からの皆様の御参加をお待ちしております。

土曜日開催です。ご注意ください。

日時 平成16年 10月16日 (土) 14時00分〜
講演者 仙葉 隆 氏(宮崎大学・工学部)
講演タイトル 多次元領域上の Keller-Segel 系とそれを単純化した系の爆発解について
講演概要 本公演において多次元とは3次元以上の次元を表すこととする。
また、簡単のために Keller-Segel 系を K-S 系と書く。
 K-S 系は粘菌の集中現象を説明するために導出された方程式系であり、爆発 解がある事が示されている。
 しかし、K-S 系の解の定性的な性質を得ることは難しい。そのとき、K-S 系 を単純化した方程式系の解を解析する事により K-S 系の解の性質や解析方法 を探ると言う手法を用いる事がしばしばある。
 本公演では、2次元領域と多次元領域における単純化された系の解の性質の 違いを述べながら、多次元領域上の K-S 系の爆発解について期待される性質 を述べたい。
場所 岐阜大学 教育学部本館1階B104


語ろう「数理解析」 第28,29回セミナー@仙台

の詳細が以下のように決まりましたので、御案内申し上げます。

会場: チサンホテル

■所在地: 宮城県仙台市青葉区中央4-8-7
■TEL: 022-262-3211
■FAX: 022-262-3220
■交通: JR仙台駅より徒歩5分
土曜日開催です。ご注意ください。

日時 平成16年 11月20日 (土) 第1部 11:00〜12:30  第2部 14:00〜15:00
講演者 竹田 雅好 氏(東北大・理)
講演タイトル ランダムな時間変更の第一固有値とファインマン-カッツ汎関数
講演概要 ランダムな時間変更過程の第一固有値は, 測度 (または対応する加法的汎関数) の 大きさを計る基準としての役割を果たす. 実際, ファインマン-カッツ汎関数が 可積分であることの必要十分条件, ファインマン-カッツ半群がブラウン運動の半群と 同様な超縮小性を持つための必要十分条件, 分枝ブラウン運動において閉集合に 到達する分枝数の期待値が有限になるための必要十分条件などが, 時間変更過程の第一固有値が 1 より大きいことで与えられる.
場所 チサンホテル 会議室

日時 平成16年 11月20日 (土) 15:30〜18:00
講演者 盛田 健彦 氏(広島大・理)
講演タイトル 2次元散乱開撞球系の熱力学形式
講演概要 本講演の2次元散乱開撞球は,滑らかな境界をもつ有限個の狭義凸領域からなる障 害物の外部領域における測地流である。ただし,障害物は食が起きないように配置さ れており,境界条件は完全弾性衝突で与えられているものとする。この力学系の周期 軌道分布に関するゼータ関数の解析的性質や,自然な不変測度に関する確率論的性質 の熱力学形式によるアプローチについて,最近の話題も含め話す予定
場所 チサンホテル 会議室

この回のセミナーの開催にあたり、

 科学研究費補助金( 基盤研究( B)( 2))
 課題番号 14340054「非線形シュレディンガー方程式の爆発解とその周辺」
 研究代表者:名和範人

から援助(会場費等)を頂いております。

語ろう「数理解析」 第30,31回セミナー@京大

12月のセミナー開催にあたり,京大理学研究科の吉田伸生先生には
会場の手配をして頂き、大変お世話になりました.
この場を借りてお礼申し上げます.

運営メンバー一同
日時 平成16年 12月16日 (木) 第1部 10:00〜12:00 第2部 13:30〜14:30
講演者 松本 剛 氏 (京大大学院 理学研究科)
講演タイトル 流体乱流 (hydrodynamic turbulence) の物理と数理
講演概要 我々の身のまわりの水や空気に代表される流体は非常に不規則な 運動を示すのが普通である。これは乱流と総称され、コーヒー カップスケールの流れから宇宙スケール流れまで共通の普遍的性質 を持つといわれている。この乱流はNavier-Stokes方程式によって 記述される。
この講演では、その普遍的性質の2,3の例の紹介を行い、それらを 物理がどのように理解してきたか、理解しようとしているか、 について述べることから初める。そこで行われる理想化について 力点をおき、なぜ現実的でない非粘性流を扱うかの理由にも触れたい。
この物理的理解の途中で生じる数理的な問題の紹介に十分な時間を さく予定であるが、総論的な内容ではなく、個人的な偏向入りの内容 になるであろうことをお断りしておく。
場所 京都大学 理学部3号館 152室

日時 平成16年 12月16日 (木) 第1部 15:00〜16:30 第2部 16:45〜18:15
講演者 早川 尚男 氏 (京大大学院 理学研究科)
講演タイトル 運動論と非平衡統計 -Boltzmann方程式を軸に-
講演概要 非平衡統計は長い歴史を持っているが、その繁雑さと普遍性の 欠如が故にその発展の歩みは遅く、今も研究が続いている。逆 に性急に一般論を求めても、すぐに馬脚を表してしまう場合も 多い。例えば最近、一部で話題になっている非平衡定常熱力学(SST) は現時点では我々が最近求めたBoltzmann方程式の定常解[1]と 矛盾しており、深刻な修正を余儀なくされている。本講演では そのBoltzmann方程式の2次摂動定常解について説明し、その安 定性、SSTを含めた各種の拡張された非線形非平衡熱力学アプ ローチへの妥当性のチェック、また間に合えばMolecular dynamics シミュレーションによる境界層の効果の検証等を紹介する。ま たそうした非弾性衝突をする粒子の気体力学を論じ、元の気体 論との違いと関係、または実験に関するプロジェクトの可能性 を論じる。
[1] H-D. Kim and H. Hayakawa, JPSJ 72, 1904 (2003).
場所 京都大学 理学部3号館 152室

語ろう「数理解析」 第32回セミナー@阪大基礎工

の詳細が以下のように決まりましたので、御案内申し上げます。
日時 平成17年 1月22日 (土) 15:00〜17:00
講演者 関根 順 氏 (阪大基礎工)
講演タイトル 数理ファイナンスに現れる双対性について
講演概要 数理ファイナンスに現れるいくつかの最適化問題が対象である。 これらに対して双対性を用いた接近がしばしば有効に作用する。 例をいくつか挙げながらその理由を探ってみたい。
特に
(1) マルチンゲール法、そしてその一般化としての双対法。
(2) 大偏差制御とリスク鋭感的制御の双対性
などに焦点を当てたいと考えている。
場所 大阪大学 基礎工学部 J棟6階 J617

語ろう「数理解析」 第33回セミナー@金沢大学

日時 平成17年 2月11日 (金) 15:00〜
講演者 堤 誉志雄氏(京大理)
講演タイトル Well-posedness of the Cauchy problem for the modified KdV
講演概要  多くの非線形発展方程式において,その非線形相互作用により,フーリエ空間に おける解のエネルギーは,時間の経過とともに低周波帯から高周波帯に流れていくと 考えられている.
(これは,「エネルギー移送現象」と呼ばれることもある.)
 Bourgainによって導入されたフーリエ制限法は,このような現象を数学的に解析する 道具の一つであり,非線形分散型方程式研究に大きな進展をもたらした. 今回,修正KdV方程式を例に取り,非線形相互作用のフーリエ空間における解析に より,初期値問題の可解性の結果が改善できることを解説したい.
数学的には,関数空間の設定が証明の鍵となる.
講演の主要部分は,高岡秀夫氏(神戸大理)との共同研究である.

より詳しい概要(英文)はこちら。(リンク先を保存してください。)
場所 金沢大学サテライトプラザ(下記参照) 3階講義室
会場:  金沢大学サテライトプラザ

■所在地: 金沢市西町三番丁16番地 金沢市西町教育研修館内
■TEL: (076) 232-5343
この回のセミナーの開催にあたり、

 科学研究費補助金(基盤研究 (B))
 課題番号: 15340054 「流れに伴う渦と波動のパターン変化の研究」
 研究代表者: 宮川鉄朗

 科学研究費補助金( 基盤研究( B)( 2))
 課題番号 14340054「非線形シュレディンガー方程式の爆発解とその周辺」
 研究代表者:名和範人

から援助を頂いております。
2005年度

語ろう「数理解析」 第34回セミナー@阪大基礎工

日時 平成17年 4月30日 (土) 14:00〜
講演者 熊谷 隆 氏 (京大数理研)
講演タイトル ハルナック不等式の安定性とその確率モデルへの応用
講演概要  多様体上の2階の微分作用素について、熱方程式の解が放物型ハルナック不等式を満たすことと 熱方程式の基本解(熱核)がガウス核の定数倍で上下から評価できる(Aronson評価をもつ) ことが同値であることは古くから知られている。90年代初頭に、この性質がvolume doubling 条件、ポアンカレ不等式の2条件と同値であることが証明され、従って作用素に多少の摂動を 加えても放物型ハルナック不等式が安定であることが解明した。一方近年の研究により、 フラクタル上の拡散過程(ラプラシアン)に代表される作用素の熱核は、上下から劣ガウス型の 評価を持つことが知られるようになり、これは時間スケールが空間スケールの$\beta$乗($\beta\ge 2$) であるような一般化された放物型ハルナック不等式と同値であることが分かっている。
 本講演では、グラフ上の強再帰的な確率過程において、一般化された放物型ハルナック不等式と 同値な不等式を与え、これらの不等式が作用素の摂動により安定であることを示す。これらの 不等式は、グラフ上の有効抵抗を用いた不等式であり、比較的検証が容易なものである。 次に、臨界確率における分枝過程に絶滅しないという条件を付けた確率モデル(これはランダムな 樹木状の形状をしている)の上のランダムウォークの熱核の挙動を調べる。有効抵抗の概念を用いる ことにより、臨界点におけるランダムウォークが劣ガウス的な挙動をすることが、証明される。
場所 大阪大学 基礎工学部 J棟6階 J617

語ろう「数理解析」 第35回セミナー@岐阜大

の詳細が以下のように決まりましたので、御案内申し上げます。

日時 平成17年 6月18日 (土) 15:00〜
講演者 名和 範人 氏 (大阪大学基礎工学部)
講演タイトル 非線形シュレーディンガー方程式の記述する世界
講演概要  非線形の世界は多様である.非線形項は考えている系 (世界)の相互作用を表すものであり,そう言った意味で,非線形問題は多体問題的性格を孕んでいる.一見単純そうな非線形が,実に豊かな世界を現出させ る.そして,一見無秩序に見える中にも普遍的な構造が潜んでいたりする.まさに「多数は別物」である.これは,複雑系で有名な Anderson の言葉と記憶しているが,彼は,「現象を記述するのは,方程式それ自身ではなく,その解である」とも言っている:即ち,問題としている微分方程式の解の一 般的・普遍的な構造を探求することは,その方程式の数理モデルとしての正当性を確認する作業であり,ここまで来てやっと,提出されたモデルの真の姿,そし て限界を知ったことになる.

 予想されたこと/想像していたことが,数学として厳密に証明されるとき,我々は人間理性の勝利に歓喜する;また,思いもかけない結果に出会ったときに は,その新たな発見に心踊り,我々の知的好奇心は,いっそうかき立てられもする.多様な非線形現象の解析は,数学に対して,新しい知見や新しい息吹を吹き 込む窓口の一つと言えるのではないだろうか.

 ここでは,非線形シュレーディンガー方程式の解(特に爆発解)の世界を概観して,上記のような雰囲気を少しでもお伝えすることができればと思っている.
場所 岐阜大学 教育学部 本棟2階 B204

語ろう「数理解析」 第36〜38回セミナー@北大

の詳細が以下のように決まりましたので、御案内申し上げます。

期間: 平成17年8月6日−7日
会場: 北海道大学理学部8号館309号室
■所在地: 北海道札幌市北区北10条西8丁目
■URL : http://www.math.sci.hokudai.ac.jp/general/contact.html.ja

※ この時期の北海道への飛行機および市内のホテルはたいへん混雑することが
   予測されます。参加される方は、早めに確保することをお勧めします。

プログラム


日時 平成17年 8月6日 (土) 10:00〜12:00
講演者 野村 祐司 氏(東京工業大学大学院理工学研究科)
講演タイトル Spectral structure of Laplacian on abelian covering graphs
講演概要    離散スペクトル幾何、即ちグラフの幾何学構造とグラフ上の ラプラシアンのスペクトルとの関係について、多くの研究が なされてきた。
 ここでは、有限グラフ$M$の極大アーベル被覆グラフ上の ラプラシアンのスペクトルを考察し、$M$がある幾何的な 構造をもてば、スペクトルは絶対連続なもののみからなることを 示す。特に、固有値は存在しない。さらに、ある正則グラフ についてはスペクトルが完全に決定される。
日時 平成17年 8月6日 (土) 14:30〜16:30
講演者 新井 朝雄 氏(北海道大学大学院理学研究科)
講演タイトル 量子場と相互作用する量子系の数理
講演概要   量子場と相互作用する量子系---基本的な例のひとつは、量子電磁場 と相互作用する原子系---に関する数学的理論の最近の発展について、 非専門家向けのレヴューを行う。
解くべき問題の特質と現在までに得られて いる結果について概説する。
日時 平成17年 8月7日 (土) 10:00〜12:00
講演者 廣島 文生 氏(九州大学理学部)
講演タイトル Analysis of a translation invariant Schrodinger Hamiltonian coupled to a quantum field
講演概要    場の量子論におけるスペクトル解析について講演する。
 1990年代半ばより量子場と結合したシュレディンガー作用素の 数学的で厳密なスペクトル解析がBach-Froehlich-Sigal, Arai-Hirokawa, Griesemer-Lieb-Loss,Spohn,Gerardによって大きく進展した。 特にNelson 模型, spin-boson 模型, Pauli-Fierz 模型のスペクトルは 非常に解析が進み,手強い問題だけが残っている状態である。これらの 問題は数学的に「連続スペクトルに埋め込まれた点スペクトルの摂動問題」 と見なすことができる。
 非相対論的量子電磁力学の模型であるPauli-Fierz ハミルトニアンHは 外場ポテンシャルが存在しないときに並行移動不変(translation invariant)になる。 そこでHをファイバー分解したH(P)を考察する。ここでPは全運動量を現す 3次元のパラメターである。H(P)の基底状態の存在,縮退の様子,反磁性的不等式, Gibbs 測度などを汎関数積分を応用して考察した結果を講演する予定である。

この回のセミナーの開催にあたり、
  科学研究費補助金( 基盤研究( B)( 2))
 課題番号 14340054「非線形シュレディンガー方程式の爆発解とその周辺」
 研究代表者:名和範人
から援助を頂いております。


語ろう「数理解析」 第39,40回セミナー@京大

の詳細が以下のように決まりましたので、御案内申し上げます。

■期間: 平成17年10月22日土曜日
■会場: 京大 理学研究科 物理学教室(理学部 5号館) 439号室
■URL :

※ 14時以降建物が施錠されますので、ご注意ください。

謝辞:今回のセミナーの開催にあたり,京大理学研究科の松本 剛先生には
   会場の手配をして頂き、大変お世話になりました.
   この場を借りてお礼申し上げます.

プログラム


日時 平成17年 10月22日 (土) 13:00〜15:00
講演者 永幡幸生 氏(阪大基礎工)
講演タイトル 格子気体模型について
講演概要   格子気体模型は多粒子の気体分子運動を簡略化した確率過程です。 もう少し詳しくいえば粒子同士多少の相互作用をしながらランダムウォークをする粒子達です。 また多体系において適切な時間-空間のスケール変換を行なうことにより各粒子はランダムに運動 していたにもかかわらず決定論的な運動(を記述する方程式)を発見することがありますがこれを (このモデルに対する) "scaling limit" と呼びます。 この講演ではこの格子気体模型のコンピュータシミレーションを交えながらこのモデルの "scaling limit" の方向へ話を進めて行く予定です。
日時 平成17年 10月22日 (土) 15:30〜17:30
講演者 井口達雄 氏(東工大理数学)
講演タイトル 水面波の長波近似について
講演概要   水面波とは,流体としての水の運動が非圧縮的,非粘性的かつ渦無しである時, 大気と接する境界面(水面)の運動のことを指す. その運動を調べることは,渦無しという条件の下での非圧縮性 Euler 方程式の 自由境界問題として数学的に定式化される.
その方程式を適当に無次元化すると, δ(=水深/波長)およびε(=振幅/水深)という二つのパラメーターが現れる. ここではδ→0の極限による近似を長波近似と呼ぶことにするが, δとεの関係によって様々な長波近似がありうる. 実際,浅水波方程式,KdV 方程式,Kawahara 方程式,Burgers 方程式, Benjamin-Ono 方程式等は,この長波近似により水面波の方程式から導出される.
この講演では,これら長波近似の数学的に厳密な正当性について 解決された部分を解説しつつ,未解決として残されて部分の難しさ, 面白さを紹介したい.

☆宿について
京大清風会館の手配が可能です。
ご利用を希望の際は、石渡(下記参照)までご連絡ください。
ただし、部屋数に限りがあって必ずしもご希望に添えない場合もございます
のでご了承下さい。また、予約手続きは9月下旬になります。

語ろう数理解析 第41回セミナー@工学院大学

の詳細が以下のように決まりましたので、御案内申し上げます。

謝辞:今回のセミナーの開催にあたり,工学院大学工学部の竹内慎吾先生には
   会場の手配をして頂き、大変お世話になりました.
   この場を借りてお礼申し上げます.

日時 平成17年 11月25日 (金) 15:00〜
講演者  笠井 博則氏 (福島大学 共生システム理工学類)
講演タイトル 磁場つきのGinzburg-Landau方程式 ---gauge不変性と渦糸解
講演概要  超伝導現象のモデル方程式の一つである磁場つきのGinzburg-Landau方程式は gauge不変性という大きな自由度を持つ。解の存在や一意性、Regularityなどの 解析的な性質を調べるとき、自由度を残したままにすることは多くの場合困難で、 通常いわゆるgauge条件といわれる条件を付けその自由度を取り除いて議論している。  この方程式に関する物理的な観測量はゲージ不変な量であり、これらに関する 定性的な性質はgauge条件を課さないで成り立つことを示せないかと考えている。
 本講演では、gauge条件を課さずに示すことができるいくつかの(数少ない) 性質を示す。また道具として使ったゲージ不変性を持つ演算に関する性質と、 それらを用いた磁場の量子化に対応する渦糸解と言われる解の近似の試案を 紹介する。
場所 工学院大学新宿校舎 A−656教室(高層棟6階)
☆会場について
 会場へは14:40から入室可能です。

 工学院大学新宿校舎へのアクセスは次のURLを参照してください:
  http://www.kogakuin.ac.jp/map/shinjuku/index.html

語ろう数理解析 第42回セミナー@龍谷大学

の詳細が以下のように決まりましたので、御案内申し上げます。

謝辞:今回のセミナーの開催にあたり,龍谷大学理工学部の森田善久先生には
   会場の手配をして頂き、大変お世話になりました.
   この場を借りてお礼申し上げます.

日時 平成17年 12月19日 (月) 14:00〜
講演者  金 英子氏 (京都大学・リサーチフェロー)
講演タイトル Pseudo-Anosov 同相写像とその dilatation について
講演概要  Nielsen-Thurston による曲面同相写像の分類により, このような写像の イソトピー類は periodic, reducible, pseudo-Anosov の 3 つのタイプに分類できる. 中でも, pseudo-Anosov 写像は力学系, 結び目理論, 双曲幾何など, さまざまな分野の 研究において重要な対象である. 講演では, pseudo-Anosov 写像の例や train track に 関する解説を行いたい. またdilatation とよばれる pseudo-Anosov 写像の不変量の計算法についても紹介したい.
場所 龍谷大学瀬田キャンパス 1号館6F 614号室

☆会場について
 龍谷大学瀬田キャンパスへのアクセス、および会場のある1号館への経路に
 ついては次のURLを参照してください:
 http://www.ryukoku.ac.jp/web/map/index.html
 http://www.ryukoku.ac.jp/web/map/seta.html

 JR瀬田駅と大学間のバスの時刻表は、以下を参照して下さい:
 http://www.rikou.ryukoku.ac.jp/bustimetable.pdf


語ろう数理解析 第43回セミナー@金沢大学

の詳細が以下のように決まりましたので、御案内申し上げます。

日時 平成18年 1月14日 (土) 15:00〜 (予定)
講演者  長澤 壯之氏(埼玉大学)
講演タイトル Helfrich 変分問題の解の存在の群同変性分岐理論に依らない 証明について
講演概要  Helfrich 変分問題は, 赤血球の形態変換の数理モデルとして, 1970年代に Helfrich らによって提唱された. それは, 閉曲面に対 するある制限つき変分問題の臨界点として, 赤血球の形が決定 されるというものである. この変分問題の解として, 軸対称性 を持つものは古くから知られており, 球面に近いものはその安 定性・不安定性の解析もなされている. 一方で, 群同変性分岐 理論の equivariant branching lemma からは, 軸対称解以外 の解の存在も分かる. 但し, 全ての解がそれによって求められ る訳でない. ここでは, 同 lemma を用いない新しい方法を紹 介する. この方法は, 解の群同変性を仮定せずに議論するもの で, モード(定義は講演中に述べる)が 2, 4, 6 の場合に有 効となる. その結果, 同 lemma では求められない解の存在を も示す事が出来る. モードが 8 以上でも, この方法が有効と なる場合がある. この方法は, Helfrich 変分問題に限らず, O(3) 不変な問題について適用可能である. 時間があれば, Helfrich 変分問題の軸対称解の安定性についても講演したい. いずれも, 既約分岐方程式に現れる Clebsch-Gordan 係数の性質を利用す る.
場所 金沢大学サテライトプラザ(下記参照) 3階講義室 (予定)

会場:  金沢大学サテライトプラザ

■所在地: 金沢市西町三番丁16番地 金沢市西町教育研修館内
■TEL: (076) 232-5343
2006年度

語ろう数理解析 第44回セミナー@早稲田大学

の詳細が以下のように決まりましたので、御案内申し上げます。

謝辞:今回のセミナーの開催にあたり,早稲田大学の柴田良弘先生には
   会場の手配をして頂き、大変お世話になりました.
   メンバー一同、この場を借りてお礼申し上げます.
日時 平成18年 5月20日 (土) 13:00〜
場所 早稲田大学 理工学部51号館17階08室
講演者 佐々 真一 氏 (東京大学大学院 総合文化研究科)
講演タイトル 相互作用するブラウン粒子多体系
講演概要 液体中に浮遊するコロイド粒子の運動は、ランジュバン方程式 でよく記述されると考えられている。とくに、平衡条件下では、 平衡統計力学に従い、その多粒子系をもちいて、固相、液相、 気相を実現することもできる。また、近年では、コロイド多体 系を積極的に制御して、非平衡条件下の振舞いやガラス的な振 る舞いを調べようとする研究も盛んになりつつある。講演では 、相互作用するブラウン粒子多体系を扱う数理的方法について 紹介する。その具体例のひとつとして、時間相関関数の緩和が 極端に遅くなる現象を力学系的縮約の方法を用いて示す。(準 備と当日の気分に応じて)、他の具体例として、非平衡定常状 態における統計的性質についても議論するかもしれない。
☆会場について
 早稲田大学理工学部は大久保キャンパスにあります。
 キャンパス及び51号館については、 こちらを参照してください

語ろう数理解析 第45回セミナー@大阪大学

の詳細が以下のように決まりましたので、御案内申し上げます。

日時 平成18年 6月16日 (金) 14:30〜
場所 大阪大学基礎工学部 J 棟7階 J706
講演者 石渡 哲哉 氏 (岐阜大学 教育学部)
講演タイトル 一般化クリスタライン曲率流による非凸曲線の挙動
講演概要  クリスタライン曲率に依存して動く非凸曲線の挙動を考える.特に, 時間発展途中の解曲線の形状変化に焦点をあて考察する.  平面内の滑らかな曲線の曲率運動の典型例である曲線短縮方程式で は,非凸曲線が有限時間で凸になる,所謂凸化現象が成立することが知られてい るが,我々が対象とするクリスタライン曲率流では,近年,非凸自己相似解の 例が提出されており,一般に凸化現象は起きないことが分かっている.講演で は,最終局面に至るまでの挙動と,凸化現象成立に対するいくつかの十分条件 について話したい.


語ろう数理解析 第46回セミナー@京都大学

の詳細が以下のように決まりましたので、御案内申し上げます。

日時 平成18年 7月17日 (月) 15:00〜
場所 京都大学 理学研究科 5号館 (物理学教室) 4階 439号室
講演者 河原 源太 氏 (阪大基礎工)
講演タイトル 乱流の基本秩序構造と不安定周期運動
講演概要  乱流の小スケール運動には乱流の種類によらず普遍的な 統計法則と秩序構造の存在が観測されている.本講演で は,この基本的秩序構造の研究の現状を述べ,基本秩序 構造の解明と制御に向けた講演者らのアプローチを紹介 する.まず,壁近傍の乱流における統計法則や基本秩序 構造の時空間構造を流体方程式の不安定周期解によって 特徴づけ,不安定周期運動に着目した乱流制御を行う.
 次に,最近発見した,等方乱流の統計法則を再現する不 安定周期運動について紹介し,できればこの不安定周期 運動の時空間構造と基本的秩序構造との関連性にもふれ たい.

京大物理へのアクセス
☆ 当日は祇園祭のため市内の交通が混雑することが予想されます。
  ご注意下さい。

語ろう数理解析 第47回セミナー@名古屋大学

の詳細が以下のように決まりましたので、御案内申し上げます。

謝辞:今回のセミナーの開催にあたり,名古屋大学の石原卓先生には
   会場の手配をして頂き、大変お世話になりました.
   メンバー一同、この場を借りてお礼申し上げます.
日時 平成18年 10月7日 (土) 13:00〜
場所 名古屋大学大学院工学研究科 IB012号室
講演者 金田 行雄 氏 (名古屋大学大学院工学研究科)
講演タイトル ランダムな乗算過程としての乱流拡散、間欠性と繰り込み近似
講演概要  ランダムな演算子あるいは乗算過程の典型として2つの問題を考える。
1)
一つは乱流拡散における一粒子拡散、および二粒子拡散の問題と言われるものである。 前者はいわゆる乱流拡散係数の見積もりに直結し、また後者は流体粒子の集団の乱流による拡がり方を規定する。いずれの問題にも、ともにラグランジュ的な速 度相関関数が重要な役割を果たす。この問題においては、乱流場がさまざまな長さ、時間スケール の渦からなることを考慮することが必要である。スペクトル近似とよばれる一群の近似はその分布=スペクトルを尊重する近似である。その中のひとつに Lagrange 的繰り込み近似(Lagrangian Renormalized Approximation : LRA)がある。 LRAは個別の問題に限らず一般のランダムな演算子あるいは乗算過程の問題に対してsystematicに近似を導く方法である。ここでは、乱流拡散の問 題についての乱流の直接数値シミュレーション(DNS)結果、およびLRAの適用について紹介する。

2)
もうひとつの問題は、乱流場の間欠性、とくにエネルギー散逸率の間欠性である。その間欠性はある見方をすればランダムな乗算過程とみなすことができる。こ こでは最近の世界最大規模の乱流DNSによるデータ解析、および繰り込み近似の導出、DNS結果との比較検証について紹介する。
会場へのアクセスは
http://www.engg.nagoya-u.ac.jp/access/access.html 
の「IB電子情報館」を参考にしてください。

当日はIB館中棟1Fの3箇所の扉が 11:00-18:00の間、開錠されます。
詳しくはこちらをご覧ください。


語ろう数理解析 第48回セミナー@京大物理

の詳細が以下のように決まりましたので、御案内申し上げます。

日時 平成18年 10月21日 (土) 15:00〜
場所 京都大学 理学研究科 5号館 (物理学教室) 4階 439号室
講演者 上之 和人 氏 (名古屋大学大学院工学研究科)
講演タイトル つららや鍾乳石の表面上にできる波模様形成メカニズム
講演概要 屋根雪の融解水で生じる軒先のつららや鍾乳洞内の鍾乳石の幾何学的形状はよく類似 している. つららや鍾乳石は, 薄い水膜が表面を流れ落ちることにより成長していく . 水膜の厚さは非常に薄く約数10μm程度である. 両者の基本的な成長機構は全く異 なる. つららの場合は, 水膜を通して潜熱が空気中に放出され氷が成長していく. 一 方, 鍾乳石の場合は, 水膜を通して二酸化炭素が空気中に放出され炭酸カルシウムが 析出することによって成長する. 成長機構の違いは成長速度の違いとなって現れる. つららの場合は, 1時間に約数cm成長するのに対して, 鍾乳石の場合は, 100年に約 数cm成長する. 注目すべき点は, 両者の成長速度は極端に違うにもかかわらず, 両者 ともその表面上にリングを積み重ねたような数cmスケールの規則的な波模様が発生す ることである. このような波模様形成に関する研究は過去にほとんどなく, つららに 関しては最近私によって実験や観察結果を合理的に説明できる理論が提唱された (PRE2003,PRE2004, 流体力学会誌「ながれ」第25巻,No4,2006 ). ここでは, つらら や鍾乳石の表面上にできる波模様形成機構を, 自由表面をもつ薄いシアー流のある水 膜からの結晶成長過程における固液界面の形態不安定性の問題として統一的にとらえ てみる.

京大物理へのアクセス

□ この回のセミナーの開催にあたり、

 科学研究費補助金( 若手研究(B))
 課題番号 18740048 「界面運動方程式の解の挙動に関する数理的研究」
 研究代表者:石渡哲哉

から援助を頂いております。


語ろう数理解析 第49回セミナー@島根大学

の詳細が以下のように決まりましたので、御案内申し上げます。

謝辞:今回のセミナーの開催にあたり,島根大学の中西敏浩先生には
   会場の手配をして頂き、大変お世話になりました.
   メンバー一同、この場を借りてお礼申し上げます.

日時 平成18年11月25日(土) 15:00〜
場所 島根大学総合理工学部3号館2階多目的ホール
講演者 盛田 健彦 氏 (広島大学大学大学院理学研究科)
講演タイトル 拡大的 Markov 系のゼータ関数とフレッドホルム行列式
講演概要  ここで扱う拡大的 Markov 系の典型例としては2進展開のアルゴリズムを 与える変換 やカントールの3進集合を与える変換族等がある.拡大的 Markov 系に対しては,熱 力学形式とよばれる1次元格子モデルを雛形とする力学系の転送作用素による手法が 適用可能である.例えば拡大的 Markov 系に附随した転送作用素の方法は,系の不変 測度の構造や系の不変集合の Hausdorff 次元を調べるために有効に利用されて来た.
単位区間の拡大的 Markov 写像の場合を考えてみよう.これもわれわれが考えている Markov 系である.その絶対連続不変測度の密度関数は,Perron-Frobenius 作用素と よばれる $L^{1}$ 空間上の特殊な転送作用素の固有値 1 に属する固有関数となって いる.Perron-Frobenius 作用素の固有値 1 の存在は,絶対連続不変測度の存在を意 味し,固有値 1 の重複度はエルゴード的な絶対連続不変確率測度の個数を与える. もし,フレッドホルム行列式の理論が Perron-Frobenius 作用素に適用できたならば, 絶対連続不変測度の密度関数の空間の構造を含むスペクトルの情報を一つの関数の解 析的性質を調べることに帰着できる.残念ながら,絶対連続不変測度の密度関数を扱 うという立場からすれば $L^{1}$ 上で議論することは自然なことであるにもかかわ らず, Perron-Frobenius 作用素は $L^{1}$ においてコンパクト作用素でないばか りか,単位円板内の任意の点が固有値で,かつその重度も無限大でああり,フレッド ホルム行列式の理論の適用にはあまりにもなじまない感がある.
さて,拡大的 Markov 系の転送作用素は系の滑らかさに応じた滑らかさを備えた関数 空間に作用させることができる.多少の議論は必要であるが,うまい具合に先験的評 価が存在して上記の絶対連続不変測度の密度関数も,その滑らかさを Perron-Frobenius 作用素が有界線形作用素となるようなクラスまで回復することが できる(系が $C2$ ならば Lipschitz 連続程度には回復できる).このとき, Perron-Frobenius 作用素の本質的スペクトル半径が 1 より小さくなる.しかも本質 的スペクトル半径より大きい絶対値の固有値を捕まえる\ \lq フレッドホルム行列式 もどき\rq\ として,系の周期軌道に関するゼータ関数(正確には,ゼータ関数の逆 数)が使えるのである.ここで,絶対連続不変測度はルベーグ測度による観測となじ んだ素材であるのに対して,高々可算個の周期軌道から情報を得るという,ちょっと した不思議な事実が生じていることに注意しておく.
講演の中では,一般の拡大 Markov 系について
・ 転送作用素のスペクトルとゼータ関数の極との関係
・ 系の滑らかさをどんどん上げて行くとゼータ関数の有理型接続域もどん どん広がって行くこと,
・ $PSL(2,\mathbb{Z})$ のセルバーグゼータ関数を適当な拡大 Markov 系 のパラメータ付きの転送作用族のフレッドホルム行列式で表示すること.
などにも触れたいと思う.

島根大学への交通案内
 航空機利用の場合は,出雲空港(JAL),米子空港(ANA)からJR松江駅まで連
絡バスがあります.所要時間は出雲ー松江間は25分,米子-松江間は45分です.
 松江市バスまたは一畑バスの方向幕に「大学」の文字があるものはすべて島
根大学を経由します(松江には他に大学がないからです).松江駅前からは市バ
ス「北循環線内回り」が所要時間が一番短く約15分です.ホテル・旅館は駅
前,京橋付近(松江大橋北),しんじ湖温泉に多くありますが,どこからでも
バスで20分以内に島根大学に着くことができます.
 会場となる島根大学総合理工学部3号館は正門から入って右側2つ目の11階建
ての青っぽい灰色の建物,その2階です.
 ちなみに今年の「神在月」は11月21日〜12月19日です.


島根大学へのアクセス
総合理工学部マップ


語ろう数理解析 第50回セミナー@京大数学

の詳細が以下のように決まりましたので、御案内申し上げます。

謝辞:今回のセミナーの開催にあたり,京都大学の國府 寛司先生には
   会場の手配をして頂き、大変お世話になりました.
   メンバー一同、この場を借りてお礼申し上げます.

日時 平成18年12月9日(土) 15:00〜(講演者がお腹が減るまで)
場所 京都大学理学部1号館 5階516号室(数学大講義室)
講演者 坂元 国望 氏(広島大学大学院理学研究科)
講演タイトル 周期構造間の遷移現象 - robustness と generic な分類 -
講演概要
少なくとも一方向に両側無限に伸びる振動場において、周期的進行波解$P_-$ と$P_+$ があったとする。この講演の目的は、空間変数 $x$ が $- \infty$ において $P_-$ に漸近し、$+\infty$ において $P_+ $ に漸近する遷移構造について、その存在、Lyapunov-安定性、構造安定性(robustness)、generic な分類について、B. Sandstede と A. Scheel の理論について詳しく解説することである。
漸近状態である二つの周期進行波解 $P_-$ と $P_+$ に関する安定なスペクトル条件の下、このような遷移構造は、generic には4つあり、contact, source, sink, transmission と呼ばれる。この分類の指標は、遷移構造の進行速度と漸近状態である周期進行波解の(非線型)群速度であり、それらの大小関係によって4つのタイプが決定されている。従って、理論のキーポイントは、これらの指標と遷移構造のスペクトルの関係を詳細に解析することである。時間と空間の役割を入れ替えて、元の発展方程式を空間変数に関するill-posed な問題(楕円型問題)として捉えて、無限次元力学系の理論を駆使して問題解決を図るというのが、理論全体の筋書きである。使われる道具は、楕円型方程式に対する Exponential Dichotomy, 相対 Morse 指数、安定(中心、不安定)多様体の理論等である。

アクセス、マップ

■ 入館についての注意
土日は1号館の出入り口の鍵が通常閉まっているため、理1号館の北部生協
に面した棟の東側入り口(棟の東面にある入り口)を2時半過ぎから開けて
いただくことになりました。そちらからお入り下さい。

□ この回のセミナーの開催にあたり、

科学研究費補助金 基盤研究(C)
課題番号:17540113 「パターン形成の詳細な理解と制御を目指した無限次元力学系の大域的分 岐の研究」
研究代表者:小川知之

から援助を頂いております。



語ろう数理解析 第51,52回セミナー@京大数学

の詳細が以下のように決まりましたので、御案内申し上げます。

謝辞:今回のセミナーの開催にあたり,京都大学の國府 寛司先生には
   会場の手配をして頂き、大変お世話になりました.
   メンバー一同、この場を借りてお礼申し上げます.

講演1
日時 平成19年1月27日(土) 13:00〜15:00
場所 京都大学理学部6号館 402号室
講演者 坂口 茂 氏(愛媛大学)
講演タイトル 不変な等位面を伴う拡散
講演概要 ユークリッド空間における線形および非線形拡散方程式の初 期値問 題および初期境界値問題を考える。初期値問題において は初期値をある領域の 特性関数とし、初期境界値問題において は初期値を零、境界値を正定数とす る。解が時刻に関して不変 な等位面(ただし、等位面上の解の値は時刻に依存 する)をも つことと領域の幾何学的形状との関わりについて考察する。特 に、 その領域の境界が有界な場合は領域の対称性が得られるこ とを示し、境界が非 有界な場合は境界が超平面になるための十 分条件を与える。証明に利用するこ とは、解の初期時刻での挙 動が領域の幾何、特に境界からの距離関数と深く関 係している という事実および領域の大域的な性質(境界の有界性その他)で あ る。最後に今後の課題を述べる。本講演で述べる結果は主に R. Magnanini(Firenze 大)との共同研究による。

講演2
日時 平成19年1月27日(土) 16:00〜18:00
場所 京都大学理学部6号館 402号室
講演者 石井 仁司 氏(早稲田大学)
講演タイトル Asymptotic solutions for the large-time of Hamilton-Jacobi equations
講演概要 ハミルトン・ヤコビ方程式の解の時間無限大での漸近挙動について の話をする.weak KAM理論との関連もあり,Fathi, Namah, Roquejoffre, Barles, Souganidis 等の研究で,ハミルトン・ヤコビ方程式の時間無限 大における解の漸近挙動の研究が近年進んでいる.これらの研究は主に領域が コンパクトな場合を扱っている.R^n上のハミルトン・ヤコビ方程式に対して, Fujita, Loreti両氏との共同研究を行った.これに続く研究で, 適当な条件の下で,Aubry集合がコンパクトになることを示し, weak KAM理論を援用して比較的一般なハミルトニアンを持つ場合に, 解の時間無限大における漸近挙動についての結果を得ることができた. この結果について報告する.さらに,市原氏との最近の共同研究につい ても報告したい.この研究では,Aubry集合が空集合になる場合も含 まれる.

■ 12月のセミナー案内後、場所を変更しました。ご注意ください。
■ 入館についての注意
6号館への入館は、南棟の北側入り口(ピロティ側)の玄関を
ご利用ください。12時半から開錠の予定です。



語ろう数理解析 第53回セミナー@岐阜大

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ち申しております。



日時 平成19年3月17日(土) 15時〜
場所 岐阜大学教育学部 本館4階426号室
講演者 小川 知之 氏(大阪大学大学院基礎工学研究科)
講演タイトル 反応拡散系に見られるHopf型退化特異点
講演概要 多くの散逸系に見られるパターン形成の一部は Turing不安定性に伴う定常分岐によるものであることは よく知られている。これに対して、振動する時空間パタ ーンの分岐を理解したい。空間的に非一様な時間振動を 捉えるには、非零波数モードのHopf分岐を特徴付けする 必要がある。2種の反応拡散系では非零波数モードのHopf型 不安定化よりも零波数モードのHopf型不安定化のほうが 早く起きるので、空間的に非一様な時間振動は一様解から の分岐として捉えられない。一方、3種の反応拡散系では 状況によっては空間的に非一様な時間振動が一様解から 分岐する。いわば拡散誘導Hopf型不安定化が起こる。 ここでは、これにまつわる退化分岐の解析とそれに伴う ダイナミクスを紹介する。

■ 岐阜大学へのアクセス http://www.gifu-u.ac.jp/additional/map.html
2007年度

語ろう数理解析 第54回セミナー@京大物理

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ち申しております。



日時 平成19年5月26日(土) 14時〜
場所 京大 理学研究科 5号館 (物理学教室) 4階 439号室
講演者 柴山允瑠(しばやまみつる) 氏(京都大学数理解析研究所(COE研究員))
講演タイトル 直線3体問題の振動解と周期解
講演概要  3体問題のより易しい場合として直線3体問題を考えられるが、 これはまだよく分かっていない。 XiaとSaariはMcGeheeによる3体衝突特異点のブローアップの理論を 応用し振動解を得た。 今回はそれを2体衝突だけをブローアップした視点からさらに詳細に 見ていく。 軌道を2体衝突の回数によって記号化し、 その記号の両側無限列に対してそれを実現する直線3体問題の 解が存在することを証明する。 そのことによって新たな振動解と周期解が得られる。

京大物理へのアクセス



語ろう数理解析 第55回セミナー@京都大学

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ち申しております。



日時 平成19年6月23日(土) 14時〜
場所 京大 理学部 3号館 (数学教室)3階 207セミナー室
講演者 吉田伸生 (よしだのぶお) 氏(京都大学大学院理学研究科数学・数理解析専攻)
講演タイトル 時空ランダム媒質内中のランダムウォーク:拡散相と局在相
講演概要  放物型 Anderson 模型の相転移は 1980 年代から解析的に研究されている。 一方、放物型 Anderson 模型は Feynman-Kac 公式を通じ、 時空ランダム媒質内中のランダムウォークについての平均量と見る ことができる。そう見ると、ランダムウォーク自体の相転移が、 平均量としての放物型 Anderson 模型の相転移を 引き起こしていると推測される。実際、今世紀に入ってから ランダムウォーク自体の相転移の様子も少しづつ明らかになってきた。 それらをこの講演で紹介する。

京大北部構内へのアクセス



語ろう数理解析 第56回セミナー@京都大学

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ち申しております。



日時 平成19年 10月26日(金)14:30〜
場所 京都大学 理学部 6号館 303号室
講演者 矢ヶ崎 一幸 氏(岐阜大学工学部)
講演タイトル ハミルトン系のダイナミクスと応用
講演概要  ハミルトン系はカオスなど豊富なダイナミクスを示す系の宝庫で あるばかりではなく,それらのダイナミクスの理解が化学反応系, 流体の輸送現象,宇宙ロケットの軌道設計,2足歩行ロボットの 歩行,制御理論など自然科学や工学などの応用の面からも重要な ものとなっている.本講演では,ハミルトン系のダイナミクスに 関する講演者の最近の理論・数値結果および最適制御問題への 応用について紹介する.また,ハミルトン系ではないが,同様 の数値計算のアプローチを用いた,Gray−Scottモデルの定常 パルス解の不安定多様体に対する結果についても触れたい.

京大北部構内マップ

語ろう数理解析 第57回セミナー@大阪大学

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ち申しております。



日時 平成19年 11月10日(土)15:00〜
場所 大阪大学基礎工学部 J棟6階 J617ディスプレイ室
講演者 堤 正義 氏(早稲田大学 理工学術院)
講演タイトル Landau-Lifshitz 方程式を巡って
講演概要 強磁性体、反強磁性体中のスピン波を記述するランダウ・ リフシッツ方程式や、調和写像の熱流の方程式、あるいは、場の量子論における 非線形シグマモデルの方程式などは、 ある(スーパー)リー代数内の軌道に 値をとるという共通の構造をもっている。それらの非線形偏微分方程式は、 多様体上に拘束された値をとるハミルトン系あるいは散逸系であり、 フーリエ解析など、線形空間の道具が直接には使えないため、 そのダイナミックスについては、初期値問題の適切性、漸近挙動、 ソリトンあるいは、インスタントン、渦糸、などの特解の安定性、 さらには、それらに対する普遍測度の存在など多くの基本的問題が未解決 である。本講演では、演者の分かる範囲で、それらに関する話題を提供したい。

阪大キャンパスマップ  基礎工学部J棟は,地図をクリックして,17番と26番に挟まれた7階 建ての建物.

語ろう数理解析 第58回セミナー@京都大学

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ち申しております。



日時 平成19年 12月8日(土)14:00〜
場所 京都大学 理学部 6号館 303号室
講演者 川原 琢治 氏(京都大学 名誉教授)
講演タイトル 非線形格子系における離散ブリーザーに関連する二三の話題
講演概要 非線形格子に特有の現象である離散ブリーザー(DB,ILM)に ついては多くの研究がなされており、最近では2,3次元格子や 散逸のある格子に対する考察も進められている。 しかし、格子系 の取り扱いでは数値計算が主体であり、現象の理解のためには 偏微分方程式による記述など、何らかの近似的記述も不可欠となる。 このような視点から離散ブリーザーに関する研究をながめることに よって、講演者が知り得た事柄をいくつか紹介したい。 具体的には、 離散ブリーザーとは、2次元離散ブリーサーの構造、離散渦ブリーザー、 カオス的ブリーザー、離散非線形シュレディンガー格子、準連続体近似 などに関連する事項を取り上げる。

京大北部構内マップ



語ろう数理解析 第59回セミナー@岐阜大学

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。



日時 平成20年 1月26日(土)14:00〜
場所 岐阜大学 教育学部本館 4階A426号室
講演者 杉山 由恵 氏(津田塾大学)
講演タイトル $\varepsilon$-regularity theorem and its application to the blow-up solutions of degenerate Keller-Segel systems.
講演概要 数理生物学における単細胞アメーバであるタマホコリカビの集中現象や, 化学物質の発散過程を考察するには非線形拡散方程式が重要な役割を演ずる. 我々は半線形方程式の解析的手法では扱えない退化型準線形Keller-Segel系 を主要な対象とする. より詳しくは, ポーラスメディア方程式を第1次近似としてとらえ, その高次近似をも考慮にいれたKeller-Segel 系を扱う. Keller-Segel系は, 滑らかな初期値から出発しても, 解は有限時間で特異性をもち得る. 本講演では, 解の空間局所積分が十分に小さければ, 弱解は局所的に滑らかになるかという 弱解に対する正則性条件($\epsilon$-正則性定理)について考察する. その応用として, 爆発点の個数の有限性と個数の評価を導出する. 更に爆発解の漸近挙動として, $\delta$-関数的な特異性が 現れることを考察したい.

岐阜大学構内マップ
岐阜大学へのアクセス


語ろう数理解析 第60,61回セミナー@大阪大学

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。

※ 13:30からと15:30からの2つの講演がありますので、ご注意下さい。

日時 平成20年 2月21日(木)13:30より
場所 大阪大学 基礎工学部 J棟6階 J617(ディスプレイ室)

■ 講演1
時間 13:30〜
講演者 奥田 孝志 氏(大阪大学大学院基礎工学研究科)
講演タイトル Steklov型境界条件下でのSwift-Hohenberg 方程式の定常分岐について
講演概要  講演ではSwift-Hohenberg方程式をSteklov型境界条件の下で考えた場合の, 定常解の分岐構造について得られた結果を報告する。Swift-Hohenberg方程 式をディリクレ型や,ノイマン型の境界条件の下で考えた場合には方程式 の解は周期的なものに拡張される。この事から,非自明解が自明解からピ ッチフォーク分岐で分岐する事等が帰結される。
 一方で,ディリクレ型境界条件に摂動を加えたSteklov型境界条件の下で 考えると,解は周期的に拡張できない。こういった対称性の破壊から生じ る分岐構造の変化について紹介する。
 具体的には,単純モード解から複合モード解が分岐する際に不完全分岐が 起こる多重臨界点と起こらない臨界点が存在する事を報告する。また,方程 式が2次の非線形性を持つ場合や,2変数反応拡散方程式系を混合型境界条 件の下で考えた場合の結果についても報告する予定である。


■ 講演2
時間 15:30〜
講演者 飯間 信 氏(北海道大学 電子科学研究所)
講演タイトル Navier-Stokes 方程式に基づく2次元昆虫飛翔の理論
講演概要  昆虫は翼を周期運動させることで渦を生み出し、その渦を上手く活用して 自重を支える力を生み出している。このような非定常有限粘性流れに基づい た昆虫飛翔の理論はほとんどしられていない。ここでは今井(1974)による一 般化されたBlasiusの公式をはばたき飛行に適用することで、Navier-Stokes 方程式に基づく昆虫飛翔の理論について議論を行う。ターゲットとするのは
 1. はばたき運動を開始してから有限時間しか経っていない場合
 2. 定常飛行(時間周期的な場合)である。
いずれも流れの詳細は必要ではなく、流れの特徴的な量で力の大きさが決定 される。特に 2. に関しては、発生する力の平均値は遠方場での平均流のみ で書けることを示した後、遠方での流れを計算し、空中停止飛行(平均速度 がゼロ)の場合にある特異な挙動が起きることを示す。現実の昆虫飛翔とこ の特異な挙動の関係についても議論したい。
阪大キャンパスマップ  基礎工学部J棟は,地図をクリックして,17番と26番に挟まれた7階 建ての建物.
2008年度

語ろう数理解析 第62回セミナー@京都大学

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。



日時 平成20年 5月9日(金)15:00〜
場所 京都大学理学研究科6号館302号室
講演者 井上 淳 氏(東京工業大学)
講演タイトル スーパー解析学とは何か?非可換「体」上の解 析学の構築例
講演概要  偏微分方程式「系」には内包されている非可換性が2種類ある。 一つは良く知られた Heisenbergの関係式とよばれる非可換性で、古典力学的には可換である 位置と運動量が 「量子化」されると非可換性を持つというもの、 もう一つは、もし微分方程式が行列で表示されている時に表れる係数行 列の非可換性である。
 これらのうちのHeisenbergの関係式の方は、Fourier変換 を用いて擬微分作用素論、 Fourier積分作用素論を展開して切り抜ける方法をここ半世紀で見いだ しほぼ完成したとしてよいだろう。
 ところで、係数行列の非可換性の方はどうだろうか?今までは、うまく 対角化できる場合を調べ、 係数行列の非可換性は避けて通る方法が主流であった。 しかし、それで事が足りるとすれば、極端に言えば「すべての現象は単 独方程式で記述できる」 となるはずである。即ち、そもそも行列を用いて現象を記述する必要性 を最初から疑わなくてはいけない事になる。
 この問題意識は、少なくともFeynmanには明確に存在し、例えば Dirac方程式の解を経路積分表示する事には困難ありと書いてあるし、 Berezinは量子電磁力学の成功を見て「少なくとも光子と電子は同じ基 礎体の上で考えるべきである」と記している。
 この立場を数学的に明確にしようとする一つの試みを述べる。可算無限 個のGrassmann生成元を用意し、 そこにKotheの数列空間と同一視できるFrechet-Grassmann 位相を入れた 新しい空間(super space)を用意し、そこでの基礎解析、線形 代数、実解析を展開する。一般にFrechet空間では陰関数定理が 成立しないが ここにはGrassmannの階数という性質があるので、その困難は回 避できる。
 例として、Schrodinger方程式を実2x2行列で表示されて いるものとして取り扱う。この場合、対応する Hamilton-Jacobi方程式の解が何の抵抗も無く構成されることを述べる。 それが、例えば、多項式増大するpotentialを持った Schrodinger方程式のparametrixの構成に役立つかどうかは、計 算途上である。


語ろう数理解析 第63回セミナー@京都大学

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。



日時 平成20年 6月28日(土)15:00〜
場所 京都大学理学研究科6号館204号室
講演者 池田 幸太 氏(東北大学大学院理学研究科数学専攻 学振PD)
講演タイトル 固有値解析とパターン形成問題
講演概要  反応拡散方程式は自然現象のモデル方程式として提唱されたものを数多く 含む。特に近年では、未知関数が2つ以上存在する反応拡散方程式系も数多く 提唱されている。こういった方程式系において、背景となる現象を表すと考 えられるような解を構成したりその性質を調べる場合、適当な手法により簡 単化された方程式から情報を引き出すことで、基の方程式の必要な情報を得 ることがしばしば可能である。ただし、簡単化した方程式から多くの情報を 引き出さなくてはならない上、得られた情報には本質的なものと過剰なもの が存在するため、方程式が余分な情報を取捨するメカニズムも理解する必要 がある。
 本講演では講演者がこれまで扱ってきた反応拡散方程式に対する固有値問 題を中心に説明し、その応用について考えたい。また、固有値問題の捉え方 についても考えてみたい。

京大北部構内マップ


語ろう数理解析 第64回セミナー@岐阜大学

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。



日時 平成20年 8月8日(金)14:00〜
場所 岐阜大学教育学部本棟4階426号室
講演者 鵜飼 正二 氏 (東京工業大学名誉教授)
講演タイトル ボルツマン方程式の最近の話題
講演概要  まず、最近導入されたmacro-micro分解によるボルツマン方程式の 研究に関する2つの話題を紹介する。1つは、この分解と従来のスペク トル解析の組み合わせによる外力のある場合の線形化方程式の解の漸近挙 動の研究で、得られた減衰評価を用いると非線形問題の大域解、時間周 期解、定常解が構成できる。もう1つは、ボルツマン方程式の流体力学的 極限への応用に関する話題で、この分解を定義する巨視的物理量に異な るスケーリングを導入することにより、従来の巨視的流体方程式の他に、 viscous heating や ghost effect などを内包する様々な非古典的流体方程 式が得られることを紹介する。さらに、時間が許せば、non-cutoff 衝突作用 素について、特に、Fefferman-Phongの不確定性原理の応用によるボルツ マン方程式の準楕円性についての最近の結果について触れる。

岐阜大学構内マップ
岐阜大学へのアクセス

語ろう数理解析 第65回セミナー@阪大基礎工

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。



日時 平成20年 11月12日(水)15:00〜
場所 大阪大学 基礎工学部 D 棟 5階 D515 (中セミナー室)
講演者 新居 俊作 氏 (九州大学)
講演タイトル 無限次元の Evans function と Stability Index
講演概要  本講演では、先ず、進行波の線形安定性の解析の道具として開発された位相的な Index である Stability Index の無限次元版について、より広い文脈の中での 位置付けを解説する。
 そのうえで、位相的に定義された無限次元 Stability Index が、事実 Index であることの根拠となる、無限次元 Evans function について解説を試みる。

※ 会場がいつものJ棟ではありませんので、ご注意下さい。
阪大へのアクセス、豊中キャンパスマップ、基礎工学部建物案内図  


語ろう数理解析 第66回セミナー@京都大学

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。



日時 平成21年 1月24日(土)15:00〜
場所 京都大学 理学研究科 6号館 303号室
講演者 三浦 英之 氏 (東京大学)
講演タイトル 非圧縮性Navier-Stokes方程式におけるLandau解とその応用
講演概要 1943年にL.D.Landauは非圧縮性Navier-Stokes方程式(INS)の定常問題 に対し、いくつかの対称性の仮定をおくことにより特殊解の族 (Landau解)を構成した。この解はINS方程式に対する自然なスケール 変換に対し不変になっている。 最近 V.Sverak、G.Tian、Z.XinらによってLandau解が数学サイドから 考察され、興味深い性質や応用があることがわかってきた。 本講演ではこれらの研究のサーヴェイを行い、いくつかの考察を 与えたい。
この講演の一部はT.-P.Tsai氏(British Columbia大学)との共同研究に基づく。

2009年度

語ろう数理解析 第67回セミナー@京都大学

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。

日時 平成21年 5月30日(土)15:00〜
場所 京都大学 理学研究科 6号館 303号室
講演者 村瀬 雅俊 氏 (京都大学基礎物理学研究所 統計動力学分野)
講演タイトル 生命動力学の創発原理を探る
講演概要 生化学の教科書では、生体酵素群の反応様式が典型的な溶液反応系である、 として記述されている。今日でも、多くの研究者は「細胞には多数の酵素 が存在していて、それらが無秩序に遭遇して反応が進行するという 溶液反応速度論は正しい」と考えている。ところが、細胞はその内部も 外部も実は、稠密に構造化されていて、溶液反応系というよりも固体反応系 として捉えることがますます重要となってきた。歴史的には、 シュレーディンガー(1945)がすでに『生命とは何か』で明言している 「秩序から秩序」への原理が知られている。すなわち、あらかじめ高次構造が あるからこそ、その構造に見合った秩序が自己組織化されるという原理である。 この原理について、今一度真剣に検討することが必要となっているのである。 その考え方は、セントジョルジ(1941)によってすでに萌芽的に示されている。 本講演では、精子鞭毛運動を具体例として、その運動方程式が時間・空間カオスを 出現すること、その時間・空間カオスが鞭毛構造をチューニングすることによって 制御できることなどを取り上げる。その際に、数式のみに頼る数理解析の盲点を 指摘したい。さらに、生命の科学が発展する上で、今後の基礎物理学に期待 することもコメントしたい。

語ろう数理解析 第68、69回セミナー@京都大学

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。

講演その1
日時 平成21年 7月4日(土)13:00〜
場所 京都大学 理学研究科 6号館 303号室
講演者 渡邉 陽介 氏 (大阪大学 基礎工学研究科)
講演タイトル 周期的な結合構造物における局在振動の数理的考察
講演概要 非線形性が内在する、不純物や欠陥の無い「完全な」空間周期性をもつ 構造において、任意の位置に励起される安定な局在振動は、非線形 局在モード(ILM: Intrinsic Localized Mode)あるいは離散ブリー ザー(Discrete Breather)などとよばれ、近年、特に固体物理学や格子 力学に関する研究分野で、エネルギーの局在現象として注目されるよう になり、理論と実験の両面から研究が進められている。
このような“ミクロな”空間周期構造に対し、工学分野で見られる“マ クロな”長大構造物、例えば太陽電池のようなパネル構造や、長大橋梁のよう なトラス構造、メガフロート(海上空港)、パイプライン、列車等も、 建造の際にはしばしば多数のユニットの連接による手法が用いられ、周 期構造をもつものが少なくない。
これら連接周期構造における波動・振動現象を考察するための最も単純 な力学モデルとして、多数の形状や性質が等しい剛体のはり(またはパ ネル)と非線形的な応答をする回転バネが仕込まれた連結部からなる 「連接剛体系(連接剛体はり)」を提案した。この空間周期系は結晶格子 系の場合とは異なり、たわみ波、すなわち横波の現象の考察に適した力学 モデルである。この系に対する解析的なアプローチと数値計算により、 「横波のILM」の存在の可能性と励起されるILMの性質・挙動について、 明らかになったことを報告する。


講演その2
日時 平成21年 7月4日(土)15:30〜
場所 京都大学 理学研究科 6号館 303号室
講演者 亀高 惟倫 氏 (大阪大学名誉教授)
講演タイトル ソボレフ不等式の最良定数
講演概要 「簡単」で重要ないくつかの場合にソボレフ不等式の最良定数を求めた。 ある種の簡単なソボレフ不等式には、微分方程式の境界値問題が付随し ている。グリーン関数G(x,y)の一方の変数xにかんするソボレフ エネルギー(ポテンシャルエネルギー)はその対角線値G(y,y)となる。 その最大値G(y0、y0)がソボレフ不等式の最良定数である。 G(x,y0)が最良関数となる。微分方程式の特性多項式の 根、特性根、またはテーラー展開の係数、特性係数を独立変数として、 G(y 0、y0)を求めるのは非常に面白い問題である。 このことがうまく行くのは、工学的な背景がはっきりしてい る、「簡単」で重要ないくつかの場合だけである。

京大北部構内マップ


語ろう数理解析 第70回セミナー@芝浦工業大学

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。

日時 平成21年 7月25日(土)15:00〜
場所 芝浦工業大学 大宮キャンパス 5号館 242号室
講演者 樋口 雄介 氏 (昭和大学)
講演タイトル Spectral and geometric properties for infinite graphs
講演概要 有限/無限グラフを対象として,その幾何学的性質とグラフ上の作用素のスペ クトルの相関関係については,様々な研究者が様々な方向よりアプローチして いる.その中で多く見られるのは,多様体の離散モデルとしてグラフを扱い, 多様体でのスペクトル幾何の結果を試金石として,その離散版の有無を調べて いるものといえる.一方で,純粋なる組合せ的/離散的図形としてのグラフの 幾何的性質が,グラフ理論研究者達によって盛んに研究され,それによると 多様体の離散的類似物としては扱え*そうに*ない興味深い性質も多々見られる. しかしこの中には多様体においては潜伏状態の"連続的類似物"もあると信じている. それらの発掘も目論みつつ,グラフという図形を"多様体の離散モデル"と意識 しながらも,敢えてその関連を軽視して離散独自の性質に重点をおいた研究が, いわば講演者の研究スタイルといえる.したがって当講演では,その切り口での いわゆる「離散スペクトル幾何」の各種結果の紹介をするつもりである.

会場へのアクセス
  会場のある5号館は、上記webの大宮キャンパス校内マップでは旧名の
  「システム工学研究棟」になっていますので、ご注意下さい。

語ろう数理解析 第71回セミナー@新潟大学

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。

日時 平成21年 9月1日(火)15:00〜
場所 新潟大学総合研究棟(情報理工系)2階第1ゼミ室
講演者 伊藤 秀一 氏 (金沢大学理工研究域)
講演タイトル 超可積分系とその摂動問題
講演概要 有限次元のハミルトン系の可積分性は,第一積分の存在という幾何的な 条件によって明快に定義することができる。とくに,自由度(=相空間 の次元の半分)の数だけの個数(nとする)のポアソン可換な第一積分 が存在するときは,Liouville の意味で可積分(あるいは完全可積分) と呼ばれ,このときn個の第一積分の正則なコンパクトで連結なレベル 集合はn次元トーラスになり,その近傍で作用−角変数と呼ばれる 『解ける座標』が導入できて,解はn次元トーラス上の周期的あるいは 準周期的な軌道になる(Liouville−Arnoldの定理)。 このような「解ける座標」の存在はKAM理論などの可積分系の摂動を扱う 際の基礎であるが,それらの研究の原点になった天体力学の問題では, 分離したケプラー問題の摂動を扱うため,可積分系は『超可積分』,すな わち,n個より多くの第一積分が存在し,それに起因してKAM理論の通常の 非退化条件は成り立たない。このような超可積分性は,ケプラー問題以外 にもオイラーのコマ等,しばしば起こる重要な問題である。 また,Liouville−Arnoldの定理は正則レベル集合の近傍での解の挙動を 保証する結果であるが,第一積分のつくるレベル集合には特異点が含まれる のが普通であり,そのような特異点の近傍での解の挙動を知ることは可積分 系の大域的問題を考える上でも,また可積分系の摂動問題を考える上でも 重要な問題である。 本講演では,これらの2つの点に注目し,超可積分系の特異点の近傍での 解の振る舞いをバーコフ標準形の観点から解明するとともに,超可積分系 の摂動論の研究の現状についての解説を交えながら,その特異点近傍での 摂動問題について考えていきたい。

新潟大学へのアクセス



語ろう数理解析 第72回セミナー@京都大学

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。

日時 平成21年 11月27日(金)15:00〜
場所 京都大学 理学研究科 5号館 (物理学教室) 413号室
講演者 尾角 正人 氏 (大阪大学 大学院基礎工学研究科)
講演タイトル 可解格子模型から箱玉系へ−隠れた対称性を探して
講演概要 2次元イジング模型や6頂点模型などに代表される可解格子模型と 可積分なセルオートマトンである箱玉系は一見すると何の接点も ないように見えますが、系に内在する対称性を探しあてるとたちまち 両者が同じもののように見えてきて、一方でのテクニックをもう一方に 応用することができるようになります。講演では、細かい話は抜きにして、 この対称性が明らかになっていく過程を、具体例を挙げながら歴史的順序を追って 見ていきたいと思います。



語ろう数理解析 第73回セミナー@岐阜大学

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。

日時 平成21年 12月4日(金)16:00〜
場所 岐阜大学 工学部A棟 A431
講演者 宮島 信也 氏 (岐阜大学工学部)
講演タイトル Numerical Inclusion for Solutions in Underdetermined Systems
講演概要 A fast algorithm for including minimum 2-norm solutions in underdetermined systems is proposed. For developing this algorithm, theory for computing error bounds for numerical solutions is established. Numerical results show the property of the proposed method.

セミナーの開催にあたり,宮島先生@岐阜大には会場の手配を
して頂き、大変お世話になりました.
この場を借りてお礼申し上げます.
                     メンバー一同


語ろう数理解析 第74回セミナー@京都大学

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。

日時 平成21年 12月19日(土)16:00〜(15時開場)
場所 京都大学 理学研究科 6号館 303号室
講演者 野邊 厚 氏(千葉大学教育学部数学教室)
講演タイトル トロピカル楕円曲線の加法の定める力学系について
講演概要 トロピカル幾何学とは,代数幾何学と組合せ論の接点に位置するような幾何学であり,今世紀に入って盛んに研究されるようになってきました.なかでもトロピ カル楕円曲線と呼ばれる曲線は,通常の楕円曲線と同様に群構造をもち,その加法から区分線形写像力学系を構成することができます.講演では,歴史的経緯も 交えて,このような力学系が可積分系の仲間と見なせることを説明します.


語ろう数理解析 第75回セミナー@芝浦工業大学

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。

日時 平成22年2月17日(水) 15:00〜
場所 芝浦工業大学 大宮キャンパス 5号館 241号室
講演者 千葉 逸人 氏(九大数理)
講演タイトル 無限次元蔵本モデルの安定性理論と分岐理論
講演概要 蔵本モデルは結合振動子系の同期現象を記述する最も代表的な微分方程式の1つ である。蔵本モデルの線形部分を定義している線形作用素は、非自己共役でしかも 非有界な連続スペクトルを虚軸上に持つため、その解の振舞いを調べることは長ら く問題であった。ここでは rigged Hilbert space を用いることで、そのような作 用素の、ある超関数空間におけるスペクトル分解を与え、これを応用して蔵本モデ ルの解の安定性と分岐を調べる。特に、連続スペクトルが虚軸上にあるにもかかわ らず、解が指数的に減衰し得ることや有限次元の中心多様体の上に縮約可能である ことを示し、蔵本モデルの分岐構造に関する蔵本の予想を証明する。

■ 会場へのアクセスは、 こちらをご確認下さい。

2010年度

語ろう数理解析 第76回セミナー@芝浦工大

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。

日時 平成22年6月12日(土) 15:00〜
場所 芝浦工業大学 大宮キャンパス 5号館 241号室
講演者 新居 俊作 氏(九州大学大学院数理学研究院)
講演タイトル Sturm-Liouville 作用素の固有値問題から Maslov Index へ、有限次元から無限次元へ
講演概要 先ず始めに、Sturm-Liouville 作用素の固有値問題について回転数を用いた位相的な議論をし、その自然な拡張としての有限次元 Maslov Index 理論を解説する。更に、無限次元の Maslov Index に関する Swanson の理論を紹介する。(時間があれば)Sturm-Liouville 作用素の固有値問題に対して Maslov Index を用いる見方と、その自然なアナロジーとしての hot spot 問題への無限次元 Maslov Index の適用方法を解説する。


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語ろう数理解析 第77回セミナー@京大

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。

日時 平成22年7月3日(土) 15:00〜
場所 京都大学 理学研究科 6号館 303号室
講演者 柳田 英二氏(東京工業大学)
講演タイトル 藤田型方程式の大域解の挙動
講演概要 藤田型方程式の爆発解の性質に関してはこれまで数多くの研究がなされてきたが, 最近の研究により, 大域解の構造についてもいろいろな興味深い事実が明らかになってきている. この講演では,初期値やパラメータに依存して大域解がきわめて多様な振る舞いを 示すことを明らかにし, それがどのようなメカニズムにもとづいているかについて解説する. 特に Joseph-Lundgren の意味で超臨界的な指数を持つ場合には, 球対称定常解の族が適当な重み付き空間で漸近安定となり, このことを用いると大域解の長時間挙動についての詳しい解析が可能となる. 時間があれば,全域解の構造に関する最新の研究成果についても報告する予定である.


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語ろう数理解析 第78回セミナー@芝工大

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。

日時 平成22年9月17日(金) 15:00〜
場所 芝浦工業大学 大宮キャンパス 5号館 241号室
講演者 平岡 裕章 氏(広島大学)
講演タイトル 有理写像と最尤推定復号:力学系からの符号理論へのアプローチ
講演概要 この講演では誤り訂正符号理論に力学系的視点を導入する 最近の試みについて解説する.ここで最も重要になってくるアイディアは 最尤推定復号をある有理写像として定式化することである.この有理写像は 符号語を不動点に,非符号語を極にもつことが示せるが,これらの安定性を 調べることで最尤推定復号の骨格を表す近似写像が定義できる. この講演ではこの近似写像を用いて新たな実用的な符号化法を提案する.
紹介する結果としては以下の2点を予定している.
1.符号-復号双対定理:生成行列の列ベクトルの1次独立性が復号性能を制御し, これにより代数幾何符号の道具が復号過程に使えることを示す.
2.誤り率特性:ここで提案する符号方式が,現在実用化されている幾つかの符号(BCH符号等) よりも誤り率特性が優れていることを数値的に示す(林和則氏(京大)との共同研究).

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語ろう数理解析 第79回セミナー@芝工大

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。

日時 平成22年10月30日(土) 15:00〜
場所 芝浦工業大学 大宮キャンパス 5号館 241号室
講演者 田中 光宏 氏(岐阜大学工学部)
講演タイトル 直接数値シミュレーションによる波動乱流の基本的性質の解明
講演概要 波動乱流とは,波長や伝播方向の異なる非常に多くの波列が互いに非線形 相互作用を及ぼしつつ共存している状態であり,弱乱流と呼ばれることも ある.海洋波浪場がその代表例であるが,大気やプラズマ,固体表面など さまざまな媒質においてこの状態を見ることができる.
本講演では,講演者自身がこれまで携わってきた話題を中心として,波動 乱流研究の基本的な枠組みから最近の新しい研究の方向性までを紹介した いと思う.
取り上げる話題としては以下のようなものを予定している:
(1)スペクトルの時間発展に対する波動乱流理論および直接数値シミュレー ションによるその正当性の検証,
(2)各成分波のエネルギーゆらぎの統計的性質に関する数値的研究結果の紹介 (京大横山直人氏との共同研究),
(3)スペクトルの離散化がもたらす「凍結乱流」と呼ばれる現象およびそれに 関する数値計算結果の紹介

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語ろう数理解析 第80回セミナー@芝工大

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。

日時 平成22年11月20日(土) 15:00〜
場所 芝浦工業大学 大宮キャンパス 5号館 241号室
講演者 服部 哲弥 氏(慶應義塾大学 経済学部)
講演タイトル 確率的順位付け
講演概要 流行に従う確率的な順位付けの究極の単純化として研究してきた 確率ランキング模型の流体力学的極限について, 数学的な結果からウェブで見られるランキングへの応用まで, これまでの経緯とやり残している宿題を概観する.

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語ろう数理解析 第81回セミナー@京大

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。

日時 平成22年11月27日(土) 15:00〜
場所 京都大学 理学研究科 6号館 303号室
講演者 船越 満明 氏(京都大学大学院情報学研究科)
講演タイトル カオスを利用した流体混合
講演概要 流体の各微小部分のカオス的運動であるラグランジアンカオスについて 力学系の理論の立場から考察した後,このカオス的運動によって流体を 効率良く混合しようとするカオス混合の研究を紹介し, 力学系の理論と関連した混合効率の指標とその有用性についても触れる。

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語ろう数理解析 第82回セミナー@新潟大

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。

日時 平成22年12月11日(土) 15:00〜
場所 新潟大学 駅南キャンパス ときめいと 講義室A
講演者 赤木 剛朗 氏(芝浦工業大学システム理工学部)
講演タイトル Fast diffusion 方程式の解の漸近形の安定性解析
講演概要 Fast diffusion 方程式は, 濃度 (未知関数) の負巾を拡散係数に持つ非線型拡散 方程式の一種である. 濃度が 0 に近付くと拡散係数が発散するため, 特異放物型 方程式と呼ばれることもある. この方程式の解は有限時間で消滅する (0 になる) ことが知られており, 消滅解のレートやその漸近形も研究されている.
ここでは符号変化する消滅解の漸近形を考える. 消滅解の漸近形全体は Emden-Fowler 方程式と呼ばれる半線形楕円型方程式の非自明解全体と一致するため, 符号変化する解を考えると無限個の漸近形を扱うことになる. 本講演の目的は, そのような消滅解の漸近形に安定性/不安定性の概念を導入し, 実際に安定性解析を行うことである.
本講演では安定性解析を行うために, 消滅解の消滅時刻が生成する超曲面を相空間 とするある無限次元力学系を解析する. 解の消滅時刻を陽的に書き表すことが困難 なため, 相空間が明らかになっていないことが問題点となる.
主結果では, 空間 N 次元の場合に消滅解の漸近形が(漸近)安定/不安定になるため の十分条件を与える. さらに, 空間 1 次元の場合を考え, すべての漸近形の安定性 /不安定性を完全に明らかにする.
本講演は佐賀大学の 梶木屋 龍治 先生との共同研究に基づく.

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2011年度

語ろう数理解析 第83回セミナー@京大

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。

日時 平成23年6月25日(土) 15:00〜
場所 京都大学 理学研究科 6号館 303号室
講演者 松村 昭孝 氏 (大阪大学大学院情報科学研究科)
講演タイトル ある重み付きエネルギー法とその応用について
講演概要 粘性保存則系の解の漸近挙動の研究では、そのアプリオリ評価に おいて、予想される漸近形自身を変数とする関数を重みとする エネルギー法がしばしば用いられてきた。最近、さらに未知関数を 別の重み関数を用いて変数変換をした後に、改めて既存の重み付き エネルギー法を用いる2段構えの重み付きエネルギー法が、幾つかの 未解決問題で有効であることが分かった。本講演では、単独粘性 保存則の半空間での初期値境界値問題における定常解の漸近安定性の 問題と粘性気体の等エントロピーモデルに対する粘性衝撃波の漸近 安定性の問題に例をとりこの2段構えの重み付きエネルギー法の 有効性を紹介する。

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語ろう数理解析 第84回セミナー@京大

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。

日時 平成23年7月23日(土)15:00〜
場所 京都大学 理学研究科 6号館 303号室
講演者 曽我 幸平 氏(早稲田大学基幹理工学部)
講演タイトル ランダムウォークの時間空間連続極限と非線形双曲型偏微分方程式の解の近似
講演概要 本講演では,1 次元ランダムウォークの時間空間連続極限を考察し,その 結果を非線形双曲型PDEの解の差分近似に応用する. 拡散型スケーリングにおける時間空間連続極限はブラウン運動になることが知ら れている.ここでは,双曲型スケーリングの下で,時間空間非一様な一般のラン ダムウォークを取り扱い,その確率測度の漸近挙動を詳しく調べる. 非線形双曲型 PDE の解の差分近似法としてよく知られている Lax-Friedrichs 法では,アプリオリ評価と関数解析的議論によって,近似の収束が示せる.ここ では,ランダムウォークが Lax-Friedrichs 法に対する「特性曲線」のような役 割を果たすことを示し,近似の収束をその確率測度の漸近挙動と変分法を用いて 示す.この方法によって,Lax-Friedrichs 法は,PDE の解だけでなくその特性 曲線も同時に近似できる方法であることがわかる.近似解の表示/誤差評価/収束 の位相などに関するその他の利点についても説明する. 時間があれば,Hamilton力学系に関するweak KAM理論への応用についても触れたい.

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語ろう数理解析 第85,86回セミナー@北大

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
今回は二日間で2件の講演を企画しております。
詳細は決まり次第、再度ご案内いたします。
皆様のご参加をお待ちしております。

場所: 北海道大学理学部3号館307号室
期間:平成23年9月5日〜6日

講演1:
日時 9月5日 15時00分〜18時00分
講演者 利根川 吉廣 氏 (北海道大学大学院理学研究院)
講演タイトル 平均曲率流の弱解についての新展開
講演概要 n次元空間の中で時間に依存して連続的に動くk次元 集合 M_t が「平均曲率流」であるとは,M_t の速度ベクトルが平均曲率 ベクトルに各点で等しいときである.平均曲率流はk次元曲面積の勾配流 でもあり,特異点を持つ集合(例えば網目集合)に対しても変分的に 平均曲率流の弱解を定義する事ができる.この事実を用いて,1978年に Brakkeは幾何学的測度論のバリフォールドを用いた弱解を構成し,その 部分正則性理論を展開した.その後平均曲率流は等高面法が開発された事 などもあいまって,数値計算で爆発的な新展開を遂げた事は周知の 通りである.一方,弱解の理論面でのハードな部分はBrakkeの理論を 越すものはない状況が続いていたが,最近我々はその技術的に複雑な 理論,特に部分正則性理論について見通しのよい新証明及び自然な 一般化をすることに成功した.この講演では弱解の概念の解説から 始めて,関連する過去の結果,これら新結果,そして2相流体問題 との関連など,特に新結果を踏まえた今後の課題について解説する.

講演2:
日時 9月6日 13時00分〜16時00分 
講演者 坂井 哲 氏 (北海道大学大学院理学研究院)
講演タイトル 臨界現象の厳密な解析を目指して
講演概要 温度を変えると磁石が磁性を失ったり,水が沸騰して蒸発するといった現象には 馴染みが深い.このように温度などの巨視的なパラメターが変化したとき,系が 質的に全く異なる状態に遷移する現象を相転移という.特に系の「物差し」である 相関距離が発散する臨界点付近では,様々な観測量が冪的な特異性を示し,マクロ とミクロの区別がつかなくなってしまう.このような現象を臨界現象という.臨界 現象はミクロな相互作用がマクロなスケールにまで波及した結果として観測される ものと考えられるが,我々はこれを格子モデルを使って厳密に理解したいと思う.
本講演では,線形高分子の統計力学モデルである「自己回避歩行(self-avoiding walk)」,ランダムな媒質中の浸透現象や伝染病の伝搬を記述する「パーコレーション」, 磁性体の統計力学モデルである「イジング模型」の相転移・臨界現象を紹介し, これまでに得られた知見や「レース展開」などの厳密な解析手法を解説する.


語ろう数理解析 第87回セミナー@芝浦工大

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。
日時 平成23年10月15日(土)15:00〜
場所 芝浦工業大学 大宮キャンパス 5号館5階5541号室
講演者 宮本 安人 氏(東京工業大学 大学院理工学研究科 数学専攻)
講演タイトル 安定パターンとモース指数1の解の形状について
講演概要 活性因子・抑制因子型の反応拡散系のシャドー系の定常問題と,ある非凸汎関数の制限の付いた極小化問題(フェーズ・フィールドモデル)を考える.具体的には円板領域の場合には,シャドー系の安定定常解と極小化問題の極小化元の形状は,両方とも次の条件を満たす:領域の境界に一つのピークを持ち,各等高線によって領域がちょうど2つに分割される.この二つの形状を求める問題は,半線形楕円型方程式のノイマン問題のモース指数1の解の形状を求める問題に帰着されることを示す.また,この問題がホットスポット予想と密接な関連があることを見る.さらに,凸領域上のノイマン第二固有関数の形状を,境界上の臨界点や極大点の個数を用いて特徴づけすることを考える.

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語ろう数理解析 第88回セミナー@京大

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。
日時 平成23年11月12日(土)15:00〜
場所 京都大学 理学研究科 6号館 303号室
講演者 菊地 光嗣 氏( 静岡大学工学部共通講座(数学))
講演タイトル 膜の振動方程式の有界変動函数の空間における解析およびその方程式系への一般化
講演概要 ここでの膜の振動方程式とは次の準線形双曲型方程式のことである:

藤原大輔氏,高桑昇一郎氏は1986年にこの方程式の弱解について研究を行ったが, この研究において彼らは各函数のグラフに対してヴァリフォルドを対応させるという 非常に興味深い手法を提唱している。ヴァリフォルドとは曲面の概念を測度論を使って 一般化したものであり,ヴァリフォルド自体はラドン測度である。彼らの結果は講演者 により改良され,Rotheの方法で構成した近似解の極限がエネルギー保存則を満たせば 有界変動函数の空間における弱解になるということが示された。更に講演者はこの方程式 の線形近似,つまり初期条件が十分に小さければ解はダランベール方程式の解に近いふる まいをするということも示した。この線形近似においてもヴァリフォルドが主要な道具と なっている。 しかしながらベクトル値有界変動函数に対してはそのグラフにヴァリフォルドを対応 させることができない。一般にはヴァリフォルドよりも情報量の少ないラドン測度しか 対応させられないが,それでも膜の振動方程式に対する上記の結果の一部は方程式系に 一般化することが可能である。この取り扱いはむしろ,Kinderlehrer-Pedrigal がソボレフ 函数に対して導入した gradient Young measure に近く,本質的なのはヴァリフォルドの 幾何学的な取り扱いではなくヤング測度論的な取り扱いであるといえる。 本講演ではまず膜の振動方程式に関する上記の結果について解説し,そのあと,それら の結果を方程式系へ一般化することについて論じたい。あわせて gradient Young measure の理論の有界変動函数 への拡張についても述べたいと思う。

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語ろう数理解析 第89回セミナー@京大

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。
日時 平成23年12月3日(土)15:00〜
場所 京都大学 理学研究科 6号館 303号室
講演者 上之 和人 氏
講演タイトル 液膜流下での結晶成長時における形態不安定の問題
講演概要 (1)過冷却の液膜で覆われた氷柱、Aufeis、航空機翼前縁への着氷、雹、(2)過飽和の炭酸カルシウム水溶液の液膜で覆われた鍾乳石や石灰華棚、(3)過飽和のショ糖溶液の液膜で覆われた金平糖などは、液膜が重力や表面張力、風による摩擦力の作用で流れるとき、固液界面上に数ミリから数センチメートルスケールの凸凹が現れるときがある。液膜の厚さは供給する流量、斜面を流れる角度、風速によって変化し、界面の成長率や波長と液膜の厚さには相関が見られる。結晶化の際の潜熱や溶質の拡散過程と表面張力によるGibbs-Thomson効果を取り入れた従来のMullins-Sekerka理論ではこのような長波長スケールの凸凹を予測することはできず、上述の現象を統一的に説明できる新しい理論体系が必要である。2002年に氷柱の1cm程度間隔の凸凹の形成メカニズムについて定量的な説明を与える理論モデルが提唱されたが、実験結果や観察結果を説明することができず再現性がなかった。それに代わる新しいモデルが提唱され(Ueno, Phys.Rev.E68,2003)、最近の実験結果は新モデルから得られた理論予測を支持している。そのモデルはAufeisの初期形態を説明するために新たに空気流れと液膜流れの相互作用を取り入れた形に拡張され、気液界面上に作用する重力や表面張力に加えて風速が大きくなるとせん断ストレスや圧力変動も気液界面の形や界面での熱伝達係数に影響を与えることが見出される。その結果固液界面の成長条件は気液界面の形に依存する。また理論予測を検証するために行った実験についても触れる。詳しい文献は以下にあります。
http://tex.riam.kyushu-u.ac.jp/ueno/profile.html

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語ろう数理解析 第90回セミナー@京大

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。
日時 平成24年1月21日(土)15:00〜
場所 京都大学 理学研究科 6号館 303号室
講演者 柳沢 卓 氏( 奈良女子大学理学部数学科)
講演タイトル 非斉次境界条件下の定常Navier-Stokes方程式の境界値問題をめぐって
講演概要 境界上の速度場があらかじめ指定された値をとるような,有界領域におけ る非圧縮粘性定常流を考えてみよう.もしこのような定常流が存在するならば, 非圧縮性条件より,境界全体からの総流入量は零とならなければならないことは すぐに分かる.では逆に,境界全体からの総流入量が零となるならば,対応する 非圧縮粘性定常流はつねに(少なくとも1つは)存在するだろうか? この問題 は,その主張の単純さとはうらはらに,非線型境界値問題にまつわる本質的困難 さを含むものと思われ,多くの研究者の努力にも拘らず現在まで未解決のまま残 されている.

本講演では,まずこの問題に対するLerayの先駆的論文とそれ以降の研究を概観 する.その後,分解定理等を用いて得ることができた幾つかの結果を紹介してい く.出来れば,最近の研究動向についても触れたいと思っている.



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2012年度

語ろう数理解析 第91回セミナー@芝浦工大

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。
日時 平成24年6月20日(水)17:00〜
場所 芝浦工業大学 大宮キャンパス 2号館2階2205号室
講演者 矢崎 成俊 氏(明治大学理工学部)
講演タイトル 移動境界問題の離散化と離散版移動境界問題について
講演概要 異なる媒体を隔てる平面内の境界線や空間内の境界面が時間発展する問題を 「移動境界問題」と呼ぶ.移動境界問題の解の挙動を数値的に追跡しようと すると,空間と時間の全離散化が必要となる.その際,もとの問題の解のも つ性質 ---変分構造,エネルギー等式 and/or 不等式など--- を引き継ぐよ うな数値スキームが構成されることが望まれる.しかし現状では,そのよう なスキームの構築は完全にはできていない.
一方,時間については連続だが,空間を「うまく」離散化すれば,解がもと の問題の解の性質と類似の性質をもつような半離散版移動境界問題を構成で きることが知られている.この場合,時間をうまく離散化できれば,上で述 べた理想的なスキームが構築できることが期待される.
本講演では,このような話題について,ダニエル・シェフチョビッチ氏(コメ ニウス大学),木村正人氏(九州大学),田上大助氏(九州大学)らとの共同研究 の結果を中心に,最近得られた知見を紹介したい.

■ 会場へのアクセスは、 こちらをご確認下さい。

語ろう数理解析 第92回セミナー@阪大

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。
日時 平成24年7月6日(金曜日)  15時00分〜
場所 大阪大学豊中キャンパス 大学院基礎工学研究科 J 棟 J617 ディスプレイ室
講演者 藤嶋 陽平 氏 (大阪大学大学院基礎工学研究科)
講演タイトル Blow-up set for type I blowing up solutions for a semilinear heat equation
講演概要 本講演では, 零ディリクレ境界条件下における半線形熱方程式の type I 爆発解の 爆発集合について考察する. 特に, 解が境界で爆発しないための十分条件を導出し, その応用として円環領域における半線形熱方程式の球対称境界爆発解の非存在を示す. なお, 本講演の内容は東北大学の石毛和弘氏との共同研究に基づくものである.

■ 会場へのアクセスは、 こちらをご確認下さい。
(建物は豊中キャンパスの40番です.詳細はページの下の方にあります).

語ろう数理解析 第93回セミナー @京大

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。
日時 平成24年7月28日(土曜日)  16:00〜
場所 京都大学 理学研究科 6号館 303号室
講演者 篠原 晋 氏 (NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
講演タイトル 微小共振器における波動カオス
講演概要 微小共振器は、共振器内外の屈折率差を使って、光をμmスケールに閉 じ込めるデバイスである。その特性(光の放射パターンや光の閉じ込め効率な ど)が共振器の形状にどのように依存するかという問題を考えるときに、量子 /波動カオスや非線形動力学の概念や手法が重要となる。本講演では、光線軌道 がカオス的になるような共振器を考え、その放射パターンに如何にカオスが刻 印されているか報告する。

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語ろう数理解析セミナー@新潟大 94人目〜99人目

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。

なお,セミナー終了後,新潟駅周辺で懇親会を計画しておりますが,
会場の都合等ありますので,懇親会に参加を予定される方はどうか

矢ヶ崎(yagasaki(at)ie.niigata-u.ac.jp)

まで,なるべく早くにメールでご連絡下さい。
   --------------
(注:上のメールアドレスの(at)は@に変えて下さい)


日時 平成24年8月31日(金) 13:00〜19:10

場所 新潟大学駅南キャンパスときめいと 講義室B


プログラム(※3番目、4番目のスケジュールを10分ずらしました。)

13:00〜13:50 柴山允瑠(大阪大基礎工学研究科)
   「斉次ハミルトン系における特異点のブローアップと可積分性の判定」

14:00〜14:50 石渡 哲哉(芝浦工大システム理工学部)
   「クリスタライン版スパイラル結晶成長モデルの解の挙動について」

15:10〜16:00 名和範人(大阪大基礎工学研究科)
   「非線形シュレーディンガー方程式の基底波解とその不安定性」

16:10〜17:00 田中光宏(岐阜大工学部)
   波動乱流におけるRPA定式化の数値的検証

17:20〜18:10 宮島信也(岐阜大工学部)
   「Componentwise verified numerical computation for solutions of least squares problems」

18:20〜19:10 矢ヶ崎一幸(新潟大自然科学系)
   「区分的に滑らかな力学系に対する摂動論的なアプローチについて」

19:30頃〜 懇親会

■ 会場へのアクセスは、 こちらをご確認下さい。


語ろう数理解析セミナー@阪大 100人目

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。
日時 平成24年11月24日(土曜日)  15時00分〜
場所 大阪大学豊中キャンパス 大学院基礎工学研究科 J 棟 J617 ディスプレイ室
講演者 石井 克幸 氏 (神戸大学)
講演タイトル 変分法に基づく平均曲率流の近似アルゴリズムについて
講演概要 2004 年、Chambolle は変分法に基づく平均曲率流の近似アルゴリズムを提案した。 本講演ではこのアルゴリズムの概要やその由来、関連した結果等について紹介したい。 また、江藤徳宏、儀我美一両氏との共同研究による収束の証明について、基本的な考 え方についても述べる。時間があれば、最近考えていることについても触れたい。

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(建物は豊中キャンパスの40番です.詳細はページの下の方にあります).

語ろう数理解析セミナー@芝浦工大 101人目

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。
日時 平成24年12月1日(土曜日)  15時00分〜
場所 芝浦工業大学 大宮キャンパス 5号館5階5541号室
講演者 島 伸一郎 氏(兵庫県立大学大学院 シミュレーション学研究科)
講演タイトル 超水滴法による雲形成・降水の精密シミュレーションとその応用
講演概要 地球の気象・気候システムにおいて雲は重要な役割を果たしており, 雲をどのように予測モデルに取り込むのかは依然として大きな課題である. 我々は超水滴法(Super-Droplet Method)と言う新しい雲微物理モデルの 開発を行なった. 超水滴法はエアロゾル・雲粒・降水粒子の運動と変化を, 確率的な手法に基づく粒子法を使って統一的に計算する方法であり, 経験的なパラメタを使わずに原理的な物理法則に基づいて粒子系の 状態変化を計算することができる. さらに, 雲に限らず, 一般に確率的に 衝突併合を繰り返す離散粒子系に超水滴法は適用可能であり, 例えば噴霧燃焼や惑星形成のシミュレーションにも応用できるであろう.

本講演では, 超水滴法の詳細を解説した後, 観測と数値計算の比較結果など, 最近の研究成果を紹介する.

[1] S. Shima, K. Kusano, A. Kawano, T. Sugiyama, and S. Kawahara, Q. J. R. Meteorol. Soc. 135, pp.1307-1320 (2009). doi:10.1002/qj.441.

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語ろう数理解析セミナー@阪大 102人目

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。
日時 平成25年3月14日(木曜日)  15:00〜
場所 大阪大学豊中キャンパス 大学院基礎工学研究科 J 棟 J617 ディスプレイ室
講演者 長田 博文 氏 (九州大学)
講演タイトル Interacting Brownian motions in infinite dimensions and random matrices
講演概要 干渉ブラウン運動というのは、ユークリッド空間内を干渉ポテンシャル$ \Psi $ によって相互作用しながら運動するブラウン運動粒子系がなす確率力学系である。 特に、粒子が無限個の時に興味があり、これを無限次元の干渉ブラウン運動 (Interacting Brownian motions (IBMs) in infinite dimensions)と呼ぶ。 従来は、干渉ポテンシャルがRuelleクラスのポテンシャルの場合が主に研究されてきた。 これはハードコアポテンシャルや、Lennard-Jone's 6-12ポテンシャルを含む、 広いクラスだが、本質的に、拡散的スケーリングでは、(少なくとも位相的制約がない 2次元以上の空間では)無限個の独立なブラウン運動を考えるのと類似の構造を持つクラスとなる。 いわば標準的なクラスである。それに対し、d次元空間でc次元Coulombポテンシャルを考えた場合、 (d\le c < d+2)ならば、全く異なる現象が生じる。 これに対応する点過程をCoulomb点過程と呼ぶことにする。 特に、d=cの場合が面白い。しかし、平行移動不変な点過程で、$d=c$の場合が 構成されているのは、逆温度を\betaとして、 $(d,c,\beta)=(2,2,2)$の場合だけでGinibre interaction Brownian motionsとよばれる。 また$ d=1$、$ \c=2$のときは、Dyson model (Sine IBMs), Airy IBMs, Bessel IBMs などのランダム行列と関係したモデルが現れる。これらの確率力学あるいは 対応する点過程の確率幾何的性質は、Gibbs 測度のそれとは、極めて異なり 興味深い。

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(建物は豊中キャンパスの40番です.詳細はページの下の方にあります).


2013年度

語ろう数理解析セミナー@京大 103人目

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。
日時 平成25年6月29日(土曜日)  15:00〜
場所 京都大学 理学研究科 6号館 303号室
講演者 吉村 和之 氏 (NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
講演タイトル 非線形格子の局在波動 - Discrete Breather解の存在とスペクトル安定性 -
講演概要 空間的離散性と非線形を備えた力学系において、系の詳細に依らず普遍的に、 空間的に局在した振動モードが存在し得る事が知られている。この局在モード を、Discrete Breather (DB)、または、Intrinsic Localized Mode (ILM)と 呼ぶ。DBは、系の運動方程式の局在した周期解である。その存在は、近似解析 計算に基づき、最初Fermi-Pasta-Ulam (FPU)格子モデルに対して指摘された [S. Takeno et. al., Prog. Theor. Phys. Suppl. vol.94 (1988) 242.]。 以後、種々の格子モデルに対して数値的にDB解が求められている。一方、 数学的観点からは、DB解の存在証明と安定性解析が基本的問題であるが、 厳密な結果は未だ十分に得られていない。
 本講演では、FPU格子に関して、Sievers-Takeno mode、および、Page mode と呼ばれる2種類のDBの基本モードの存在とスペクトル安定性に関する結果を 示す。さらに、diatomic FPU格子に関して、anti-continuous limitと呼ばれる 極限の近傍で、様々な波形を持つ複合モード(複数の局在励起部分からなる 周期解)に対し、その波形とスペクトル安定性の関係についての結果を示す。

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語ろう数理解析セミナー@明大(中野)  104人目 

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。
日時 平成25年9月19日(木曜日)  15:00〜
場所 明治大学 中野キャンパス 6階 研究セミナー室3
講演者 郷田 直輝 氏 (国立天文台)
講演タイトル 銀河の力学構造と自己重力多体系の非線形現象
講演概要 銀河の力学構造と緩和過程、 及びそれと密接に関わる自己重力多体系での 非線形物理学をテーマに発表する。
具体的には、 先ず、 宇宙進化における階層構造の形成と自己重力との関わりを説明する。
そして、 自己重力系の特徴やそれを記述する基礎方程式、 及びその平衡解等について説明する。
さらに、 自己重力系の現実的な例である、 銀河の力学構造と緩和過程の簡単な説明を行う。
次に、 緩和過程と密接に関わる1次元自己重力多体系(シート系)のカオス的遍歴現象など 非線形物理学や統計物理学とも関連する現象を説明する。
さらに、今後の位置天文観測による実際の天の川銀河の力学構造構築に 関しても言及する予定である。

■ 会場へのアクセスは、 こちらをご確認下さい。

語ろう数理解析セミナー@明大(中野)  105人目 

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。
日時 平成25年10月5日(土曜日)  15:00〜
場所 明治大学 中野キャンパス 6階 研究セミナー室3
講演者 山田 澄生 氏 (学習院大学)
講演タイトル アインシュタイン方程式100年
 ー物理と幾何と解析の邂逅の場としてー
講演概要 アインシュタイン方程式は宇宙の幾何学的構造を曲率テンソルの等式として 表したものである。1915年における導出時から100年経とうとしている現在、 この方程式の系統だった理解が大きく進んできた。本講演では、微分幾何学 の歴史、偏微分方程式の変遷、および特異点理論の発達という観点を交えて、 ニュートン、ガウス、リーマン、アインシュタイン、シュバルツシルト、ルレイ、 ホーキング、ペンローズらの貢献が現在の一般相対性理論の研究にどのように 結びついているかを紹介することを目指したい。

■ 会場へのアクセスは、 こちらをご確認下さい。

語ろう数理解析セミナー@広大  106人目

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。
日時 平成25年11月9日(土曜日)  15:30〜
場所 広島大学総合科学研究科C棟8階C808号室
講演者 佐治 健太郎 氏 (神戸大学)
講演タイトル 波面の特異点と幾何学
講演概要 本講演において波面とは、3次元空間内の特異点付きの曲面であって、法線ベク トルが常に定義できているもののことをいう。 この意味での波面は特異点を持つが、法線ベクトルがあるので、古典的な曲面論 と相性が良く、 特異点の近くにおける様々な微分幾何学的性質が解ってきている。 またそれらの局所的な情報をつなぎあわせて、大域的な性質を知ることができる。 本講演では波面がもつ基本的な特異点を紹介し、それらの特徴付けを与えた後、 上記のような、波面の幾何学的研究について述べる。 また波面は、近年多くの場面に現れることが指摘され、 特異点の情報が意味をもつ場合が多い。そのような関連話題も述べる。

■ 会場へのアクセスは、
http://www.hiroshima-u.ac.jp/add_html/access/ja/saijyo4.html
http://www.hiroshima-u.ac.jp/top/access/higashihiroshima/
をご確認下さい。

語ろう数理解析セミナー@京大 107人目

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。
日時 平成25年12月14日(土曜日)  15:00〜
場所 京都大学 理学部6号館 6−609号室
講演者 荒井 迅 氏 (北海道大学)
講演タイトル 複素から見直す分岐理論
講演概要 力学系の分岐を複素化して見直すと、面白い構造が見えてくるという話題を提供する。最も単純なサドル・ノード分岐でさえも、複素化してモノドロミーを見てみると、リーマン面としての非自明な構造が見えてくる。また、反可積分極限が取れる力学系においてカオス的な不変集合のモノドロミーを計算すると、無限個の分岐の間の順序関係など、強力な結果が得られる事もある。通常の線型常微分方程式のモノドロミー理論と異なり、「解の空間」の自己同型群が非常に複雑なため、時には整数論の結果などを援用する事になるのが難しくも面白いところである。いろいろと応用がある理論のはずなのだが、講演者の怠慢と能力不足により思うように進展していない。ぜひこの場をお借りして皆様のご意見を伺いたい。

■ 会場へのアクセスは、 こちらをご確認下さい。

語ろう数理解析セミナー@広大  108人目

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。
日時 平成26年2月18日(火曜日)  15:00〜
場所 広島大学 霞キャンパス 保健学科研究棟 204号室
講演者 市原 直幸 氏 (広島大学)
講演タイトル Hamilton-Jacobi-Bellman方程式の臨界性理論
講演概要 シュレディンガー作用素を含む線形楕円型偏微分作用素の臨界性理論は,解析学と確率論の双方から詳しく研究されてきた.本講演では,あるタイプの最適制御問題を考えると上述の非線形版が現れるという話をする.具体的には,ランダムな力学系から決まる軌道に対して,作用積分の長時間平均の期待値を最小化する確率的変分問題を考えるとき,この問題に対するHamilton-Jacobi-Bellman方程式(HJB方程式)の固有値問題を考察することで最適軌道の再帰性・非再帰性が判定できることを解説する.HJB方程式の非線形項が特別な形の場合は,Cole-Hopf変換により方程式を線形楕円型方程式に書き直すことができ,最適軌道の再帰性・非再帰性を線形作用素の臨界性・劣臨界性と対応させることができる.この意味で,上述の問題は臨界性理論の非線形版と解釈できる.講演では,問題の基本的なところから解説し,関連する話題や今後の展望についても可能な限り論じたい.

■ 会場へのアクセスは、 こちら をご確認下さい。
会場は 地図 で医学部保健学科と書いてある建物です。


2014年度

語ろう数理解析セミナー@福島 109人目

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。


謝辞:今回のセミナーの開催にあたり,福島大学の笠井博則先生には
   会場の手配をして頂き、大変お世話になりました。
   この場を借りてお礼申し上げます。


日時 平成26年4月26日(土曜日)  15:00〜
場所 コラッセ福島 402A会議室
講演者 岡本 久 氏 (京都大学数理解析研究所)
講演タイトル 結局、ナヴィエ−ストークス方程式の力学系理論とは何なのか? 何であるべきか?
講演概要 ナヴィエ−ストークス方程式を力学系の立場から研究しようというのは 人気のあるテーマである。やればそこそこ論文は書ける。しかし、形式論が 幅をきかせていた時期が長く、理論の枠に収まるということを示すのに疲れて しまっているという印象を受ける。応用数学・流体力学の立場では、どれくらい 理解が進むかが重要なのであって、数学的に厳密に実行するということがそれほど 重要なわけではない。魅力的ではあるが、解けたとしてもその後の発展が期待 できないような未解決問題に拘泥すべきではない。そんなものよりも、泥臭くて も地道な数値実験を続ける方が世のため人のためである。本講演は、私の こうした鬱積した気持ちを自然に発散させたものになる予定である。

■ 会場へのアクセスは、 こちら をご確認下さい。
会場のコラッセふくしまは、JR福島駅西口を出て北側に歩いて3分程度です。

語ろう数理解析セミナー@京大情報 110人目

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。


日時 平成26年6月21日(土曜日)  15:00〜
場所 京都大学吉田キャンパス 総合校舎 213講義室 (2階)
講演者 宮部 賢志 氏 (明治大学理工学部数学科)
講演タイトル 「予測不可能性」の数学的定式化  〜確率モデルを使わない方法〜
講演概要 Kolmogorovの確率の公理に基づく確率モデルの有用性は疑問の余地がない. しかし,確率モデルでは解析できないこともある. いくつか例を挙げれば,
(1) 確率モデルを考えることが不自然な場合(決定論的力学系)
(2) 如何なる意味でのランダム性がどの程度必要かを調べたい(乱数,暗号,乱拓アルゴリズム)
(3) 計算という概念との関係を調べたい(統計,機械学習)
(4) 確率という概念そのものを調べたい
このような場合は,予測不可能性に対する新たな見方が必要になる.
本講演では,その見方の一つとして,ゲーム論的確率論を紹介する.
ゲーム論的確率論は,Kolmogorovらによるアルゴリズム的情報理論, von Misesによる頻度論の確率論,PascalとFermatのやり取りのうちPascalの方法 などの考え方を引き継いでいる.
講演は3部構成で,
I. ゲーム論的確率論入門(大数の法則の証明)
II. ゲーム論的確率論の使い方(歴史,哲学,特徴,応用)
III. ランダムの概念について(今後の展望)
の予定である.

参考文献
G. Shafer, V. Vovk "Probability and Finance: It's Only a Game!" Wiley
日本語訳 G. シェイファー, V. ウォフク『ゲームとしての確率とファイナンス』

■ 会場へのアクセスは、下記をご確認ください:
総合校舎 213講義室 (2階)
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/map6r_y.htm
(正門近くの53番の建物)

語ろう数理解析セミナー@芝浦工大 111人目

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。


日時 平成26年8月20日(水) 16:00〜
場所 芝浦工業大学 大宮キャンパス 5号館5541教室
講演者 栄 伸一郎 氏(北海道大学)
講演タイトル 反応拡散系におけるパルスの相互作用について
講演概要 1次元または2次元領域における反応拡散系を考え, パルス状に局在した解の様々なダイナミクスについて 考察する.具体的には, まずパルス同士の単純な相互作用に 関する過去の結果の紹介から始め, パルス解同士の反射現象や 非球対称解同士の相互作用など, よりダイナミックな運動を伴う 相互作用の解析について紹介する. また樟脳モデルなどいくつかの具体的な 応用例についても紹介する.


■ 会場へのアクセスは、 こちらをご確認下さい。
※5号館本棟の改修工事のため、本棟のエレベーターが使えないことがあります。 その場合は、北隣の数理棟のエレベーターをご使用ください。2階以上は繋がっています。

語ろう数理解析セミナー@明大中野 112人目

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。


日時 平成26年10月17日(金) 15:00〜
場所 明治大学 中野キャンパス6階の研究セミナー室3
講演者 名和 範人 氏 (明治大学)
講演タイトル 非線形シュレーディンガー方程式とネルソン拡散過程
講演概要 線形の場合と同様にして,非線形シュレーディンガー方程式 (NLS)のエネルギークラスの各々の解に対してネルソン拡散過程と呼 ばれる,「量子力学」と同様の「予言」を与える確率過程を構成する事 ができる.その拡散過程は伊藤型確率微分方程式の弱解として定まるの だが.擬共型不変な場合の NLS の爆発解の爆発速度は,ブラウン運動 の挙動と関係があると予想していた(妄想を抱いていた).どうやらこ の予想は正しかったようで,最近になって数学の命題として厳密に書く 事ができるようになった.未だ道半ばと言ったところもあるが,数理モ デルとしての NLS や拡散過程の爆発解以外への応用とも合わせてお話し させて頂けたらと思う.


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語ろう数理解析セミナー@京大情報  113人目

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。


日時 平成26年11月29日(土) 15:00〜
場所 京都大学吉田キャンパス 総合校舎 213講義室 (2階)
講演者 福島 竜輝 氏 (京都大学数理解析研究所)
講演タイトル Anderson模型について
講演概要 Anderson模型とはランダムなポテンシャル項をもつSchr\"{o}dinger作用素である.P.W.Anderson(1958)はこのような模型に対してはポテンシャル項が周期的な場合とは対照的に局在状態(固有関数)が存在することを主張し, 数学としてもその定式化や証明に向けて多くの努力がなされてきた. 講演ではこのモデルの研究の歴史について簡単に概観した後, 講演者が関わった部分について要点を紹介したい. とくにAnderson模型に対するいわゆるhomogenizationを考察した最近の研究についても述べる予定である.
■ 会場へのアクセスは、下記をご確認ください:
総合校舎 213講義室 (2階)
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/map6r_y.htm
(正門近くの53番の建物)


語ろう数理解析のセミナー@明大中野 114人目

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。


日時 平成26年12月5日(金) 15:00〜
場所 明治大学 中野キャンパス6階の研究セミナー室1(601号室)
講演者 石井 豊 氏 (九州大学数理学研究院)
講演タイトル 力学系の双曲性・複素幾何・精度保証計算
講演概要 力学系の「双曲性」は、力学系理論における最も重要な概念の一つであり、力学 系の安定性の証明、不変集合の位相的・組み合わせ論的な記述、軌道の統計則の 研究、などにおいて大変有益である。しかし、この概念は相空間上の接バンドル において力学系と整合した剛的な幾何構造の存在を要請するため、与えられた力 学系が双曲的であるかどうかを具体的に判定することは一般には難しい。

この講演では、ヘノン写像と呼ばれる具体的かつ最も基本的な二変数の非線形写 像がいつ双曲的になるか、という問題を考察する。我々の証明の方針は、まずヘ ノン写像を複素化することで複素幾何学のテクニックを用いて双曲性の判定条件 を見出し、次に与えられたヘノン写像に対して精度保証計算を援用することでそ の判定条件をチェックし、最終的に双曲性を示すというものである。更に、この 様な複素幾何と精度保証計算を組み合わせるアイデアは、(複素化する前の)実 変数ヘノン写像に対するパラメータ空間の解析にも応用が可能であることについ て言及する。


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語ろう数理解析セミナー@明大中野  115人目

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。


日時 平成27年3月12日(木) 15:00〜
場所 明治大学 中野キャンパス 6階 研究セミナー室3
講演者 根本 孝裕 氏 (京都大学 理学研究科 物理学第一専攻)
講演タイトル 稀な事象とレアイベントサンプリング
講演概要 我々の身の回りには稀な事象が重要な役割を果たす例が多々ある。例えば、

- 均質な系で水蒸気を凝縮点以下まで冷却すると、不安定であるが気体の状態を保った過飽和蒸気が得られる。この状態が液化する際には、稀な事象による揺動がきわめて重要な役割を果たす(均質核生成)。
- 化学反応を示す系を微視的な模型で記述すると、その模型の典型的な時間スケールと化学反応が進行する時間スケールが全く異なることが分かる。これは化 学反応が進行するためには活性化エネルギーと呼ばれる大きなエネルギーが必要とされるからであるが、それを系が得るためには稀な揺らぎが必要となる。
- 流体乱流の統計法則では、間欠的振る舞いが重要になる(コルモゴロフ則からのずれ)。
- 太陽系のカオス的振る舞いを起源にした惑星間の衝突の確率が50億年の間で1%ほどあるという数値計算結果が提出される[Lasker, Gastineau, nature 2009]
- 熱力学の第二法則の稀な揺らぎまで含めた拡張(ゆらぎ定理)が発見される[Evans et al, PRL 1993]。

本講演では、一般的にどのようにしてこれら興味深い稀な事象にアプローチすれば良いか?を問い、それに対する様々な答え(レアイベントサンプリング手法)を紹介したい。また、最近我々は独自のレアイベントサンプリング手法を提出したが[T. N., S. Sasa、PRL 2014]、それについても紹介したい。


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2015年度

語ろう数理解析セミナー@芝浦工大  116人目

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。


日時 平成27年5月16日(土) 14:00〜
場所 芝浦工業大学 大宮キャンパス 5号館5541教室
講演者 坂上 貴之 氏 (京都大学)
講演タイトル 渦閉じ込めによる効率的な渦翼の実現を目指して
講演概要 講演者が代表として現在行っているクレスト研究 「渦・境界相互作用が創出するパラダイムシフト」 のうち,講演者本人が関わった研究について主に 紹介する.トピックは次の二つである.
(1)二次元多重連結領域における非粘性・非圧縮流体の理論・数値等角写像とその応用による「渦閉じ込め」翼の研究
(2)二次元ハミルトンベクトル場の流線の位相構造の(完全な)分類理論
これらの話題について基礎的なところからお話をする つもりである.

クレストでは諸分野との協働によるブレークスルーの 探索を領域の戦略目標としており,単なる数学的興味 だけではなく,諸分野や産業とのつながりを意識して 数理科学的研究が行われてきた.その結果,理論的研究 だけにとどまらず石鹸膜実験装置による実証実験研究に 取り組むようになり「数理科学」研究の幅が非常に拡がり を見せていること,さらに諸分野協働研究が本来の流体 数理の研究自身にも有益なフィードバックを与え,思い がけない理論的展開が見えている.
とは言っても,他分野との連携をしながら数学的な成果 を出すことは容易でなく ここに到るまで(そしてこれからも)いろいろな紆余曲折 があった(あると思う).こうした苦労話など普段の成果 に集中する研究発表では触れにくい点にも少し触れたいと 思っている.


■ 会場へのアクセスは、 こちらをご確認下さい。

語ろう数理解析セミナー@京都駅前  117人目

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。

なお、下記のように会場変更をしましたので、ご注意ください。

日時 平成27年6月6日(土) 15:00〜
場所 キャンパスプラザ京都 6階 第8講習室    (京大理学研究科6号館から会場変更しました。)
講演者 大信田 丈志 氏 (鳥取大学工学研究科 機械宇宙・機械物理)
講演タイトル 水平加振により弾塑性流体層に生じる異方的応力状態
講演概要 粉と水を混ぜたものを浅い皿に入れて静置乾燥させ亀裂パターンを 見る実験において、本来、亀裂は等方的セル状になるべきところ、 乾燥前に「揺れを記憶させる」ことで亀裂パターンに顕著な異方性を 導入できることが、中原明生氏と松尾洋介氏により発見された(※)。 加振によって何かが異方的になっているのは間違いないが、それが 何であるのかは未だよく分かっておらず、解明の努力が続いている。

ここでは、ひとつの可能性として「水平加振の結果として、系は 応力ゼロの状態に戻れず異方的な応力状態にとどまることになり、 それが亀裂の方向を決める」という理論を紹介する。 粉と水を 混ぜたものが揺れを記憶するには塑性が必要であるという実験事実を 踏まえて、系を弾塑性流体層としてモデル化し、水平加振に対する 応答を調べる。 加振に伴う剪断の非線形効果により、異方的な応力の 源泉となるような塑性変形が生じ、その応力が破壊を助ける方向は、 実験で見られる亀裂の方向と整合的であることが分かる。

※日本物理学会誌70-3(2015年3月号)の解説記事
http://www.jps.or.jp/books/gakkaishi/2015/03/703.html


■ 会場へのアクセスは、 こちらをご確認下さい。
会場はキャンパスプラザの6階にあります.6階は京都にある大学が管理・利用するスペースですのでHPによる案内がございませんのでご注意下さい.
会場へは,エレベータを6階まであがっていただき,出てすぐ左に曲がって 突き当たり右側を見れば講義室がならんでいますのでそちらへお進みください.
第8講義室は右折すぐのところにあります.

語ろう数理解析セミナー@京大  118人目

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。


日時 平成27年7月25日(土) 14:00〜
場所 京大理学研究科 6号館 303号室
講演者 多羅間 大輔 氏 (京都大学)
講演タイトル Lie群上の自由剛体の力学系と平衡点の安定性解析
講演概要 外力を受けない剛体の運動を記述する自由剛体の力学系は解析力学に現れるLiouvilleの意味で完全積分可能なHamilton力学系の雛形のひとつである. Euler,Poinsot,Jacobi等に始まる長い研究の歴史を経て,この力学系の挙動 (平衡点の安定性)や運動方程式の解の楕円函数による表示(Liouville可積分性) 等はよく知られている.1960年代以降のKdV方程式などの無限次元可積分系の研 究の成功を受けて,自由剛体の力学系も高次元回転群や一般のLie群上の可積分 系へと拡張された. 特に,1980年前後にMishchenkoとFomenkoによって,複素半単純Lie群やその正規・コンパクト実形およびそれらの共通部分上の自由剛体の力学系のLiouville 可積分性が示された.他方,力学系理論の立場ではこれらの力学系に現れる平衡点の安定性解析は自然な問題であるが,本格的な研究は比較的近年になってようやく途に就いたと言って良い.

この講演では,Lie群上の一般化された自由剛体の力学系の平衡点の安定性解析についての現状と展望について,背景や関連する事柄にも言及しながらお話しする.具体的には,以下のような章立てで講演を行う予定である:
1. 対称性をもつHamilton力学系の基本事項と自由剛体の力学系の基本的構造
2. 半単純Lie群上の一般化された自由剛体の力学系のLiouville可積分性
3. Lie群上の一般化された自由剛体の力学系の平衡点の安定性解析


■ 会場へのアクセスは、 こちらをご確認下さい。

語ろう数理解析セミナー@京大  119人目

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。


日時 平成27年9月26日(土) 15:00〜
場所 京都大学吉田キャンパス 総合校舎 213講義室 (2階)
講演者 平岡 裕章 氏 (東北大学WPI-AIMR)
講演タイトル 位相的データ解析とパーシステントホモロジー
講演概要 本講演ではパーシステントホモロジーを中心に、確率論、箙(quiver)の表現論、逆問題に関わる数学的話題、およびそれらの材料科学への応用について研究紹介をする。確率論に関しては、ランダムグラフの高次元版であるランダム単体複体上で、Friezeのゼータ関数極限定理、ランダムウォーク、spanning treeなどの高次元拡張について議論する。箙の表現論については、Auslander-Reiten理論を用いた一般化パーシステント加群の定式化について紹介する。材料科学への応用では、ここで紹介する数学的な結果を用いて、アモルファス材料を中心に各種ガラスの幾何学的構造解析やガラス転移点前後のパーシステント図の解析を紹介し、位相的データ解析を用いた材料設計やマテリアルズインフォマティックスの可能性について議論する。


■ 会場へのアクセスは、下記をご確認ください:
総合校舎 213講義室 (2階)
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/map6r_y.htm
(正門近くの53番の建物)

語ろう数理解析セミナー@芝浦工大 120人目

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。


日時 平成27年11月21日(土) 15:00〜
場所 芝浦工業大学 大宮キャンパス 5号館5541教室
講演者 石毛 和弘 氏(東北大学大学院理学研究科)
講演タイトル 動的境界条件下における非線形楕円型方程式
講演概要 本講演では、動的境界条件付き非線形楕円型方程式に対する Marek Fila 氏 (コメニウス大学、スロバキア) および 川上竜樹氏 (大阪府立大) との共同研究の研究成果を、 その背景、問題点と共に紹介する。

動的境界条件はその物理的背景は元より、分数冪ラプラシアンとも関連し、 興味深い研究対象である。 しかし、本講演で取り扱う動的境界条件付き非線形楕円型方程式では、 そもそも弱解をどのように定義すべきなのか、ということから自明ではなく、 解の半群性、解の可解性を含めて多くの問題が存在する。 この研究はまだ始まったばかりと言えるが、紆余曲折の末、 半空間上での極小解については、その構造がかなり解明されたと考えており、 それらについて解説する。
極小解の解析では、動的境界条件付き調和関数に関する Phragmen-Lindelof theorem が鍵となる。


■ 会場へのアクセスは、 こちらをご確認下さい。

語ろう数理解析セミナー@明大中野  121人目

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。


日時 平成28年1月23日(土) 16:00〜
場所 明治大学 中野キャンパス 6階 研究セミナー室3
講演者 柴田 徹太郎 氏(広島大学)
講演タイトル Inverse and Direct Bifurcation Problems for Semilinear Elliptic Equations
講演概要 We consider several kind of semilinear elliptic equations, which contain the unknown nonlinear term.  In this talk, we mainly treat the inverse bifurcation problems from two points of view. Firstly, under $L^2$-framework, we determine the unknown nonlinear term from the asymptotic behavior of the bifurcation curves. Secondly, under the $L^1$-framework, we establish the uniqueness of the unknown term from the asymptotic shape of the bifurcation curves. For the direct problems, we discuss the global behavior of the bifurcation curves which oscillate infinitely many times.


■ 会場へのアクセスは、 こちらをご確認下さい。

2016年度

語ろう数理解析セミナー@芝浦工大 122人目

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。


日時 平成28年4月23日(土) 15:00〜
場所 芝浦工業大学 大宮キャンパス 5号館5541教室
講演者 穴田 浩一 氏(早稲田大学高等学院)
講演タイトル ある準線形放物型偏微分方程式の Type II 爆発解の爆発レートについて
講演概要 有限時刻で領域爆発する解を持つある準線形放物型偏微分方程式の爆発レートについて考える. 今回取り上げる方程式は, 領域がある程度広い場合解が必ず Type II のレートで爆発する. その具体的なレートに関する数値的な予想が以前から知られていたが, 本研究の目的は、その予想が正しいことを数学的に証明することである. そのためには, 解が爆発する領域の特定, その領域における解の単調増加性と各点における爆発レートの分類を行うことが非常に重要となる. 本講演では, 爆発領域の特定とレートの分類に関する結果を含め, この解の具体的な爆発レートの数学的な導出について解説する.


■ 会場へのアクセスは、 こちらをご確認下さい。

語ろう数理解析セミナー@芝浦工大(豊洲) 123,124人目

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。


※  豊洲キャンパスでの開催です。ご注意ください。

日時: 平成28年5月14日(土) 14:00〜

場所: 芝浦工業大学 豊洲キャンパス 教室棟5F505号室


講演1: 14:00−15:00(目安)
講演者 新居 俊作氏(九州大学大学院数理学研究院)
講演タイトル 微分形式による熱力学入門
講演概要  本講演は深川氏の講演を聞く準備である。
 先ずラグランジュ力学系において対称性と保存量がどのように結びついているか を解説し特にエネルギーが時間平行移動対称性に付随する保存量であることを示 す。
 次に、熱力学をラグランジュ力学系に取り込むために、微分形式で表現された熱 力学について解説する。 (ラグランジュ形式と変分原理自体については既知とする。)


講演2: 15:30−
講演者 深川 宏樹氏(九州大学大学院工学研究院)
講演タイトル 散逸のある連続体の新たな変分原理
講演概要  物理系の運動法則を与える基礎原理の一つとして、「ある(作用)汎関数に停留値を与える現象が起こる」という変分原理がある。散逸のない質点系の運動方程式はハミルトンの原理とよばれる変分原理から導出できる。一方、散逸のある系の変分原理としてはオンサーガーの変分原理があり、線形現象で記述できる系であれば運動方程式が導出できることから、ソフトマターの分野では低レイノルズ数領域の流体で広く用いられてきた。しかしながら、オンサーガの変分原理ではナビエストークス方程式のような対流項を含む運動方程式は導出できない。

 我々は散逸系であってもハミルトンの原理を基にして、ナビエストークス方程式を導出できることを示した。更に空間に固定された点での物理量の変化を見るオイラー描像では、流体の運動を速度場による制御系とみなし、ハミルトンの原理を「(評価)汎関数に停留値を与える最適制御問題」とすることで、見通しよく流体の運動方程式が導出できることを見出した。散逸系では単位時間当たりのエントロピー生成は他の状態変数の時間変化で決まることから、エントロピーに関する拘束条件は履歴依存性を持つ非ホロノーム拘束条件で与えられる。最適制御理論の観点に立てば、散逸系の運動は非ホロノーム系の制御系とみなせる。

 通常の流体力学では、運動量保存の式を導いた後に応力テンソルの具体的な式を入れて系の運動方程式を得る。例えば、ナビエ・ストークス方程式を得るには、応力テンソルが圧力と剪断応力から成り立ち、剪断応力が速度勾配に比例すると定める。圧力は内部エネルギーに、剪断応力はエントロピーの非ホロノーム拘束条件に関係する。我々の変分原理では、応力テンソルを与える代わりに「内部エネルギー」と「エントロピーの拘束条件」を与える。なお、これらは全く任意ではなく、系の対称性や解の存在条件から制約を受け、エントロピーの拘束条件については、更に熱力学第二法則を満たす必要がある。

 本講演では、ハミルトンの原理と最適制御理論の説明をして、その後、非ホロノーム系である散逸系の変分原理を説明する。最後にこの変分原理を用いてナビエ・ストークス方程式を導出する。粘弾性流体、二成分流体、液晶などのより複雑な流体にも本稿で紹介した変分原理は適用可能であり、時間のある限りこれを説明する。


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語ろう数理解析セミナー@芝浦工大(豊洲) 125人目

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。


※  豊洲キャンパスでの開催です。ご注意ください。

日時 平成28年7月23日(土) 15:00〜
場所 芝浦工業大学 豊洲キャンパス 教室棟5F 505号室
講演者 榊原 航也 氏(東京大学大学院数理科学研究科 博士課程3年)
講演タイトル 基本解近似解法の数学解析およびその複素解析・流体力学への応用
講演概要  基本解近似解法(Method of Fundamental Solutions, MFS),もしくは代用 電荷法(Charge Simulation Method, CSM)は,線型同次偏微分方程式の数値 解法であり,数学の文献では Kupradze and Aleksidze (1964),工学の文献で はSteinbiegler (1969,学位論文)により提唱された.そのアルゴリズムは非 常にシンプルであり,考えている領域の外部に特異点を持つ,考えている方程 式の基本解(及び定数函数)の線型結合により近似解を与える.このように, MFSは,有限要素法や差分法とは異なり,領域のメッシュ分割を必要としない 数値解法(メッシュフリー解法)であり,かつその実装,高次元問題への拡張 は容易である.さらに,``ある条件''の下では,近似誤差が特異点の数に関し て指数的に減衰するという著しい性質を持つことが,数値的に数多くの方程式 に対して報告され,Laplace方程式に問題を制限したところでは,数学的に Katsurada and Okamoto (1988) により初めて数学解析(近似解の一意存在, 近似誤差の指数的減衰の証明)が行われ,単連結領域では十分な解析がなされ てきた.しかしながら,ごく一部の結果を除いて,多重連結領域における解析 はなされていない.一方で,MFSは多重連結領域における等角写像の数値計算, 及びこれを通じて流体力学へ応用されており,そこでは非常に良好な数値結果 が得られている.ゆえに,多重連結領域におけるMFSの数学理論を構築すること が強く要請されている.
 本講演では,その第一歩として,二重連結領域における解析結果を,先行研 究を詳細に検討しながらお話ししたい.さらに,そこから派生する正則函数の 補間(複素双極子法),数値等角写像への応用(双極子法・複素双極子法), Hele-Shaw問題の幾何学的変分構造保存数値計算スキームについて,時間が許す 限りお話しする予定である.


■ 会場へのアクセスは、 こちらをご確認下さい。

語ろう数理解析セミナー@京大  126人目

下記の要領で勉強会を開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。


日時 平成28年8月25日14:00〜18:00ごろ、26日10:00〜12:00ごろ
場所 京都大学吉田キャンパス 総合研究8号館 講義室3 (3階 南 328)
講演者 新居 俊作氏(九州大学大学院数理学研究院)
講演タイトル マスロフ指数入門
講演概要  本勉強会では、普段幾何学に馴染みの無い聴衆を対象にマスロフ指数の入門講義を行う。
 目標は2次元ラグランジュ-グラスマン多様体の基本群が整数環Zと同型であること、すなわち、この多様体にはn回巻くという概念が定義できることの理解である。
 それができた後、更に一般のn次元ラグランジュ-グラスマン多様体も同様であることの解説を行う。
 予備知識としては、実2次元射影平面が多様体であることを理解できることと基本群の定義を知っていることを仮定する。


■ 会場へのアクセスは、 こちらをご確認下さい。

語ろう数理解析セミナー@神戸大  127人目

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。


この度のセミナーでは、神戸大学の石井克幸先生および高坂良史先生に会場確保で 大変ご尽力いただきました。ありがとうございました。


日時 平成28年12月10日(土) 15:00〜
場所 神戸大学 深江キャンパス 4号館 4304講義室
講演者 後藤田 剛 氏(京都大学大学院理学研究科 D3)
講演タイトル Euler-Poincar\'{e}型正則化を通した非粘性流体方程式の散逸的弱解の構成
講演概要 二次元乱流を特徴付ける性質として粘性ゼロ極限における流体のエンストロフィーの 特異散逸が挙げられる. 一方で, 非粘性流体を記述する二次元Euler方程式については, 初期渦度がラドン測度のような正則性の弱いものでない限り特異散逸が起こらないこと が証明されている. そこで, このような散逸性を持つ弱解を散逸的弱解と定義し, その研究を通して乱流の数学的構造を理解できる可能性がある. しかし, 二次元Euler方程式についてはラドン測度の渦度に対する可解性は知られて おらず, 散逸的弱解を直接構成するには数学的な困難が伴う. 本研究では, Euler-Poincar\'{e}方程式の数学解析を通した散逸的弱解の構成に 取り組んでいる. この方程式は流体力学の諸問題でよく使われるvortex blob method やEuler-$\alpha$方程式などを包括するような一般化された正則化Euler方程式 とみなせるが, その理論的研究についてはあまり多くない. 本セミナーでは二次元Euler-Poincar\'{e}方程式のラドン測度初期渦度に対する 時間大域的弱解の一意存在定理やEuler方程式の弱解への収束に関する結果について 解説し, 特に二次元Euler-$\alpha$方程式の点渦解を利用した 散逸的弱解の存在証明についてお話する予定である.


■ 会場へのアクセスは、 こちらをご確認下さい。
また、深江キャンパスについては こちらをご覧ください。

2017年度

語ろう数理解析セミナー@芝浦工大  128人目

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。


日時 平成29年6月17日(土) 15:00〜
場所 芝浦工業大学 大宮キャンパス 5号館5541教室
講演者 小林 亮 氏(広島大学)
講演タイトル 環境を友とする制御法の創成
講演概要 我々動物は自然環境や日常の生活空間を動き回ることができる。 ところが、この一見簡単そうに見えることをやってのけるロボットは 現在のところ存在しない。高度な AI が最高の棋士を打ち負かし、遠い 惑星に探査機を送り込む技術を持つ今日においても、そのようなロボット を作れないのはなぜか? 本講演では、制御の観点からこの問題を考察し、 我々が CREST Project で行っている、複雑な環境の中を動物のように動き 回ることのできるロボットを創るための挑戦について紹介したい。


■ 会場へのアクセスは、 こちらをご確認下さい。

語ろう数理解析セミナー@芝浦工大  129人目

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。


日時 平成29年9月30日(土) 15:00〜
場所 芝浦工業大学 大宮キャンパス 5号館5階 5541教室
講演者 山田 義雄 氏(早稲田大学)
講演タイトル 数理生態学に現れる自由境界問題について
講演概要  外来種の侵入現象を数理モデルとして定式化する際、従来は反応拡散方程式の進行波解として記述することが多かった。しかし、このモデル化では、生物種の生息域が明確でないことや、侵入の成功・失敗の判定基準が現実的でないなどの弱点があった。これらの点を克服するため、2010年Yihong Du. Zhigui Lin 両氏は、反応拡散方程式に対する自由境界問題としての定式化を提案した。ここでは生物種の生息領域の境界全体または一部が自由境界である。種の個体数密度を未知関数とし、これは反応拡散方程式により記述され、自由境界の運動はStefan 型の境界条件により支配される、とする。Du-Lin 氏らの研究では、反応項がロジスティック型関数で与えられるとき、時間大気解の存在から、解の漸近挙動に至るまで非常に詳細な、一連の結果を導いた。とりわけ、解挙動の分類における spreading-vanishing 二者択一定理や自由境界の挙動に関する評価は大きな関心を集め、多くの研究者が取り組むきっかけとなった。
 本講演では自由境界問題の解の構成法、解の挙動を解析する基本的なアイデア・方法を紹介する。次に
・反応項や固定境界における条件に応じて、解の挙動やその分類がどのような影響を行けるか?
・自由境界の運動や密度関数のプロファイルについて、どのような評価が得られか?
などのテーマについて述べる予定である。

語ろう数理解析セミナー@芝浦工大 130人目

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。


日時 平成29年10月28日(土) 15:00〜
場所 芝浦工業大学 大宮キャンパス 5号館5階5541教室
講演者 木村 芳文 氏(名古屋大学)
講演タイトル Vortex reconnections under the Biot-Savart evolution.
講演概要 渦管のつなぎ替えは古典乱流、量子乱流に共通する渦運動の素過程であると考えられる。この講演では古典乱流の基礎方程式としてのNavier-Stokes方程式と量子乱流の基礎方程式としてのGross-Pitaevskii方程式と完全流体の方程式であるEuler方程式との関連について述べた後で、Biot-Savart方程式で記述される渦管のつなぎ替えの簡単なモデルとそれを初期条件とする数値計算についての結果を報告する。


■ 会場へのアクセスは、 こちらをご確認下さい。

語ろう数理解析セミナー@芝浦工大 131人目

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。


日時 平成30年2月17日(土) 15:00〜
場所 芝浦工業大学 大宮キャンパス 5号館5階5541教室
講演者 小池 開 氏(慶應義塾大学)
講演タイトル 分子気体中の物体運動について
講演概要 気体中を物体が動くと,物体は気体から力を受ける;一方,気体はその反作用で乱れる.この相互作用の起源は,気体分子と物体の衝突という,ミクロな相互作用である.ところが,Navier--Stokes 方程式などにもとづく,巨視的な流体力学では,ミクロな自由度は(粘性係数などに)間接的にしか現れない.分子のミクロな運動と,物体のマクロな運動を,もっと直接的に結びつけて解析できないだろうか?

これに対する第一原理的な対処法は,分子ひとつひとつの運動を Newton の法則にもとづいて追いかけることである.しかし,これは言うまでもなく,非常にむずかしい;そこで,分子集団を統計的に記述する,分子気体力学の立場から,この問題にとり組んでみたい.数学的には分子気体力学の方程式(Boltzmann 方程式など)に対する,移動境界問題の解析である.これは理論的な興味だけでなく,応用上も重要である.なぜなら,分子気体力学は --- 巨視的な流体力学が成立しないような --- 局所平衡から外れた流れも記述できるからである.たとえば MEMS (micro-electro-mechanical systems) とよばれる分野では,このような非平衡流れと物体の連成系を扱わなければならない.

講演内容は以下を予定している:
(1)分子気体力学の基本事項,
(2)関連する工学・物理学の話題,
(3)数学的な研究.



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2018年度

語ろう数理解析セミナー@京大 132人目

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。


日時 平成30年7月28日(土) 15:00〜
場所 京都大学吉田キャンパス 総合校舎 213講義室 (2階)
講演者 松江 要 氏(九州大学IMI / I2CNER)
講演タイトル 壁と扉:力学系の精度保証付き数値計算にて
講演概要 近年微分方程式の解、あるいはそれが生成する力学系に精度保証付き数値計算 が応用され、著しい発展を遂げています。
多くはある意味で「正則」な対象、もしくは捉えたい構造を「決め打ち」して 計算を試みるものであったりして、枝葉末節な議論に陥る危険性を孕んで います。工夫なしには計算できない特異な対象の精度保証計算法を深く考える ことは、単に計算の幅を広げるだけでなく、裏に潜む数学的普遍構造を掘り 下げるきっかけを与えてくれます。
それは、様々な問題に対して普遍的な計算法を展開する一歩になると考えます。

本講演では、fast-slow系における近年の精度保証付き数値計算の話を軸に、 計算のために立ちはだかる壁、それを開く扉を紹介かつ議論できればと思います。 標準的な数学的議論で出来る事についても、ひとたびその精度保証計算を試みる と(問題設定にも依存しますが)とにかく出来ない事が噴出し、抽象と具体の ギャップに驚かされます。
議論の初めに「設定」される事が実際の問題で実現できず、出発点からつまずく こともしばしばあります。時には、簡単にできると思われている事が非常に 難しい問題を含んでいることもあります。対して、今まで数値計算を考察する 際に取り上げられなかった概念やアイデア、あるいはあまりにも基礎的で深く 注意を向けられなかった考え方が、普遍的な計算法の構築に貢献する可能性も 充分あります。その点も掘り下げて議論できればと思います。


■ 会場へのアクセスは、 こちらをご確認下さい。(正門近くの53番の建物)

語ろう「数理解析」セミナー@芝浦工大 133人目

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。


日時 平成30年9月12日(水) 15:00〜
場所 芝浦工業大学 大宮キャンパス 5号館5541教室
講演者 菅 徹 氏(大阪府立大学)
講演タイトル 局所的に平面進行波解に漸近する Allen-Cahn 方程式の解について
講演概要 Allen-Cahn 方程式の球対称解の界面が時刻とともに広がっていく状況を考えると、界面の動きに合わせた座標系で解は平面進行波解に時間無限大で局所一様に漸近するが、界面の位置自体は平面進行波解から見て対数のオーダーで離れていく。この界面の位置のずれは界面の曲率の影響による。このように平面進行波解に局所的に漸近しつつも平面進行波解よりわずかに速いあるいは遅い解について議論する。界面の相対的な位置のずれは必ずしも対数のオーダーでなくべき乗のオーダーで増大することもあり得る。


■ 会場へのアクセスは、 こちらをご確認下さい。

語ろう「数理解析」セミナー@京大 134人目

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。


日時 平成31年1月5日(土) 14:00〜
場所 京都大学吉田キャンパス 総合校舎 213講義室 (2階)
講演者 井口達雄 氏(慶応大学)
第1部 
講演タイトル
Isobe-Kakinuma model for water waves as a higher order shallow water approximation
第1部 
講演概要
We consider the initial value problem to the Isobe-Kakinuma model for water waves. As was shown by J. C. Luke, the water wave problem has a variational structure. By approximating the velocity potential in Luke's Lagrangian, we obtain an approximate Lagrangian for water waves. The Isobe-Kakinuma model is a corresponding Euler-Lagrange equation for the approximate Lagrangian. In this talk, we first explain a structure of the Isobe-Kakinuma model and then justify the model rigorously as a higher order shallow water approximation by giving an error estimate between the solutions of the model and of the full water wave problem. It is revealed that the Isobe-Kakinuma model is a much more precise model than the well-known Green-Naghdi equations.
第2部 
講演タイトル
Initial value problem to a shallow water model with a floating solid body
第2部 
講演概要
In this talk we are concerned with the well-posedness of the initial value problem to a shallow water model for two-dimensional water waves with a floating solid body. We consider three cases: the body is fixed, the motion of the body is prescribed, and the body moves freely according to Newton's laws. The difficulty of the analysis comes from the fact that we have to treat the contact points, where the water, the air, and the solid body meet. This model yields a new type of free boundary problems for a quasilinear hyperbolic system. We will report that the initial value problem to this model is in fact well-posed. This result is based on the joint research with David Lannes at University of Bordeaux.


■ 会場へのアクセスは、 こちらをご確認下さい。(正門近くの53番の建物)


★セミナー当日の晩に懇親会を行います。
 年始ということもあり、事前にお店を予約する都合で人数把握したいので、
 参加される方は、12月25日までに石渡までご連絡ください。



2019年度

語ろう「数理解析」セミナー@京大 135人目

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。


日時 令和元年6月29日(土) 15:00〜
場所 京都大学吉田キャンパス 総合校舎 213講義室 (2階)
講演者 下條 昌彦 氏(岡山理科大学)
講演タイトル 特異性をもつ数理生態学のあるモデルについて
講演概要 種の絶滅現象を数理モデルで定式する際,たとえば通常のロトカ・ボルテラ競争系 では被食者がいなくなるまで無限に時間がかかってしまう.だが生物の絶滅は有限 時間で起きるはずである.そこでF. CourchampとG. Sugiharaは1999年に閉鎖 された天然の島に飼い猫が侵入したときに,島の野鳥が有限時間で絶滅する現象を 記述するモデルとして特異捕食被食反応拡散モデルを提案した.

この非線形放物型方程式系の研究は数学的な観点からは以下の特徴がある. 第一に生物種がある場所で絶滅する際に特異点が生じるので 爆発現象としての側面がある.第二に被食者が捕食者の領域に 侵入していくというという観点からは伝播現象の問題となる. 本講演では主に有界領域における解の漸近挙動についての 結果を紹介する.特に解がその常微分方程式のそれに漸近する ことを示すための基本的なアイデアを述べる. また全空間の問題として進行波解や周期的進行波の存在や 捕食者の侵入速度について議論する.


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語ろう「数理解析」セミナー@明大中野 136人目

下記の要領でセミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。


日時 令和元年11月30日(土) 14:30〜
場所 明治大学 中野キャンパス 6階 研究セミナー室3
講演者 宮路 智行 氏(京都大学)
講演タイトル 非線形非平衡系におけるビリヤード問題について
講演概要 有界領域に閉じ込められたある種の自己駆動粒子は領域内部での直進と境界での反射を繰り返し,あたかもビリヤード球のように動き回る. ただし,境界に衝突せずに進行方向を変え,その反射規則は完全弾性反射に従わないという特徴がみられる. そのため,その軌道の様子は,直進と完全弾性反射を繰り返す数学的ビリヤード問題とは異なる様相を呈する. このような運動は水面に浮かぶ円板状の樟脳や垂直に振動する液面を跳ねる液滴,平面上の反応拡散系やある種の非線形光共振器の数理モデルにおけるスポット解の運動など様々な非線形非平衡系で観察されている. 本講演では樟脳円板の運動を記述する数理モデル及びそれから中心多様体縮約によって導かれる常微分方程式モデル,離散力学系モデルを通して, その運動の性質と矩形領域における軌道について議論する.


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