令和元年を迎えて
今年2019年,世界計量記念日である5月20日に,新しい SI 単位が施行されました。物理学の基本法則に現れる物理定数などのいくつかの重要な数値が新しく定義値となりました。それらは,プランク定数,ボルツマン定数,アボガドロ数,電気素量です。1983年に光速が定義値となって以来の大改定ではないでしょうか。キログラム原器は廃止され,真空の透磁率は定義値ではなくなり,少々奇妙な印象を拭えなかったアンペアの定義も廃止されました。これらの物理定数は桁数も多く単純な数値ではないことは,それだけ現代社会が高度な技術に支えられているということでもあり,普段は意識しないところで,純粋な科学理論との結びつきが強くなっていることの証左なのかもしれません。 ここに書かれているのは,もっと早くに公開しようと準備していた文章なのですが,令和になって早5ヶ月が過ぎ去ろうとしています。今でも元号なるものを使用しているのは日本だけと聞いておりますが,ともかくも,新しい時代の幕開けです。自分自身でも,多分にバイアスがかかった見方であると分かってはいるのですが,我々を取り巻く諸々の変化は,何にやら元号と関係しているように見えてなりません。一休禅師の言われる「やまびこ」でしょうか。18年目を迎えて
2019年 運営メンバー一同
日時 | 令和元年12月21日(土) 15:00〜 |
場所 | 京都大学 総合研究10号館 317セミナー室 (3階) ※下記注意参照 |
講演者 |
日野 正訓 氏 (京都大学)
|
講演タイトル |
拡散過程が定める次元
|
講演概要 |
拡散過程が定めるノイズの重複度を表す「マルチンゲール次元」の概念は,実質的に1960年代には議論されており,典型的な状況では空間次元に一致する.
しかし,フラクタル集合のような特異集合上の拡散過程の場合は事情が異なり,次元の定量的な情報を得ることは非自明な問題である.
本講演では,マルチンゲール次元の定量評価に関する従前の結果と最近得た結果を紹介し,
時間があれば本題と密接な関連を持つ「可測リーマン的構造」の概念とそれを用いた(確率)解析に関する今後の展望について述べる.
|
セミナー運営メンバー
石毛 和弘(東京大学大学院数理科学研究科)
石渡 哲哉(芝浦工業大学システム理工学部)
小川 知之(明治大学先端数理科学研究科)
坂上 貴之(京都大学大学院理学研究科数学教室)
名和 範人(明治大学理工学部)
松本 剛(京都大学大学院理学研究科)
矢ヶ崎 一幸(京都大学大学院情報学研究科)
(五十音順)